15.『上賀茂愛梨の不運』 ページ16
「んん〜幸せ…」
大盛の苺パフェを頬張り、その美味しさに舌鼓を打った。今日はポアロのバイトが無く、授業後直ぐに新しく出来た喫茶店へと訪れた。
みずみずしい苺が、堪らなく美味しい。生クリームたっぷり、苺ミルク味のアイス、さくさくのコーンフレークが美味しい。
海月先生も一緒にと思ったが、あの人は極端に甘いものが駄目だ。食べても本当に脳が欲しがっている時だけなのだ。
「ほんと、先生損な人生送ってるよなぁ」
推理、幻想文学を主に執筆している、正に現代を代表する作家だ。東都大学の文芸サークルの友人より、情報を貰ってひたすら探した。あれを読んだ人間はあの才能に、面白さに、感動を覚える。私もその一人だ。工藤優作以来の逸材であろう。
整った顔立ちで、クールビューティーという言葉がぴったりな女性だ。薄い水色のジャケットを羽織り、黒のヒールで凛と歩く姿に私は憧れている。
パフェを食べ終え、幸せな気分のまま街を歩く。そうだ、このままデパートとかでアクセを買うのもいいかもしれない。そんな予定を立てていると、路地裏でなにかひどい音が聞こえた。気になって数歩戻ってみると、喧嘩が起きているではないか。私はそれを見過ごせるほど大人ではなかった。
「こら、やめなさい!!」
足を踏み出し、路地裏へと入る。馬乗りになっていた人は驚いて、慌てて立ち上がった。すると、馬乗りになっていたことにより影となっていた人間が顕になる。その人の胸には、ナイフが、刺さっていた。
「え、死んでっ…」
私は慌ててスマホを取り出すと警察へと掛けようとした。しかし、それは叶わなかった。背後に人の気配がし、私は振り向きざまに足技を向ける。しかし、びくともしない。驚きで、私は眼を見開いた。やばい、逃げなきゃ。そう思ったときには既に遅く。腹に重い打撃を食らい、海老のように曲がる。
「くびつっこむんじゃねーよ、ガキが。」
その言葉を最後に、意識が飛んでいった。
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黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» ありがとうございます。 (2022年5月17日 22時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - はい、マジ好きです応援します (2022年5月17日 21時) (レス) id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» それは凄く嬉しいです。愛梨ちゃんがいてこそのこの作品なので是非とも応援してください。 (2022年5月17日 21時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - 夢主っぽいのがいるときいて何だ地雷か?って思ったらバリタイプだだった。 (2022年5月17日 21時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 目覚ましさん» そう言って、いただいて幸せです! (2018年12月14日 16時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2018年11月10日 22時