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第4話 憐(れん)  1 ページ10

誰もいない放課後の教室。
一人窓を眺め佇むクラスメイトを眺めていた。

米谷玲(こめたに れい)。

それが彼の名前だ。
青春の時間をネットなんかに躍らされて、哀れだとは思うが、それ以上の同情はない。今日に関して言えば、周囲の人間の質は哀れだとも思うが......。


最近、世の中には神とやらが多すぎると思う。

神調教。神絵師。神なんとか。
エトセトラ、エトセトラ。

実力・努力という揺るぎない圧倒的な事実は、神という偶像に昇華することで自我を保っているのか。それとも文字通り「同じ人間」の土俵にすら立てていないのか。

「秀?何やってんの?彼女待ち?」

「いやー新鮮な空気でも吸ってみようかなとね?」

「嘘つけ!誤魔化さなくていいから、やっぱイケメンは違うな〜お邪魔しないように先帰りまっす」

「彼女いねーっつの!でもさっさと帰れ!!」

「いやなんか怪しいからやっぱ妨害するわ」

「だから誰も来ねーっての!」

ふざけあう毎日。
こんなばか騒ぎをしているときは楽しい。
(そして、彼女がいたら理想的なんだが)

だけど時々......いや、頻繁にか。


死んでみたく、なることがある。


通学路の踏み切りを毎日眺めていた。
このまま踏み込めば死ねるような気がするのだ。

教室にある廊下のベランダをずっと眺めていた。飛び降りれば死ねるだろうかと考えていた。

ネットで練炭を探した。致死量のある強いクスリを眺めていた。縄や、カッターまでも、気付いたらカートに入れていた。

何も思わない時でさえだ。
多分、潜在的に死にたく、殺してくれと願っているのだろう。

一体何が自分をそうさせているのだろう。
普段の作り上げた「ムードメーカー」で、「優しい」「面白い」「気取らない」そんな嘘だらけの自分に吐き気がする。

そういえば、何故こうなったのだろう。
いつのまに、こう思うようになったのだろう。

久々に寄り道した近所の神社。
階段を登っていたら、記憶のなかにふわりと誰かがよぎった。

もう少し、この階段を登ってみよう。
何か思い出せそうな気がするんだ。

――ここからは少しだけ、昔話をしよう――

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設定タグ:アンチ , 恋愛 , 小説   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:Sei | 作成日時:2017年6月17日 9時

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