第6話 煉(れん) ページ17
あの日君は、僕の前からいなくなった。
ーー僕はハジメテ、君を探したーー
君は見つからなかったけど、君の行く先はすぐに見つかった。
XX病院第七病棟。
そこがずっと君が住んでいた場所。
親族に病名は教えて貰えなかったが、彼女の消えた理由が病気でないことは教えてくれた。
むしろ、病気はどちらかと言えば順調に回復に向かっていたんだという。
ーー生ける希望を見出だせる時点で死ぬ例というのは珍しいのだろうかーー
考えても頭が回らない。
ふと、彼女の使っていたらしきノートを開いた。
数学が嫌いなのか、いつも計算に途中で飽きてはやめ、落書きしているようだった。
最初こそ、かんたんな絵を描いたり、図形を書いたりしているようだったが、ある日を境に日記のような、詩のようなものに変わっていた。
やや婉曲的ではあるが、僕と話したことをいつも書いているようだった。
そして、僕が君に触れた日からまた言葉は変わって。今度は安直になっていた。
好き。
好き。
あなたが好き、
......大好き。
毎ページひたすらそれを書いていた。
涙がこぼれた。
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作者名:Sei | 作成日時:2017年6月17日 9時