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第1話 人それぞれの正義の形(1) ページ1

小さな頃から正義に反するものが嫌いだった。

『間違っている』

それに対して、理由もなく酷い嫌悪感を感じていた。



キーンコーンカーンコーン

授業終わりのチャイムのベルが鳴る。
中学校の頃よりたった5分しか延びてない筈の50分授業は、何故だかとても辛い。

でも、頑張らないと。
授業をしてくれてる人がいる。
親は、働いたお金を授業料に使ってくれている。だからきっと「疲れていても、授業を頑張る」ことが正しいこと。
だから、頑張らないと。

「あ〜次課題提出じゃんだりぃー......波原さん課題やって来てるよね?わり!見せてくんないかな、部活昨日長引いちゃってさー」

「いいけど......」

人に頼む時、言い訳をするのは、正しいことなの?

それをわざわざ声に出して聞くのは間違ってるから、聞いたりはしないけど。

「さんきゅー!」

違和感はあっても、きちんとお礼を言ってる限りは、貴方は間違っていないから。



「ナミちゃんは不思議だねぇ」

「ナミちゃんって私のこと?何が不思議なの?」

二年間、ずっと同じクラスの海野君。天然パーマらしく、猫っ毛をくるくる遊ばせている。色も地毛で茶色ががってて、彼は高校生にも関わらず、大学生のようだ。たれ目にゆっくりとした喋り方もあいまって、猫のようだと女子に人気だ。

私のことを、何故か「ナミちゃん」と呼んでいる。多分、波原のナミなんだろうけど、そう呼ぼうと思った理由はよくわからない。

「ナミちゃんはずっとそうやって生きてるの、疲れたりしないのかなぁって。だから、常にそういられるの、不思議だなぁって」

「疲れないよ」

「それは、どうして?」

一瞬だけ、言葉に詰まった。

「......。............。......間違ってしまう方が怖いし、疲れるから」

「人は間違えないで生きていられるの?」

今度は簡単に答えられた。

「生きられるよ」

そしたら今度は海野君が言葉に詰まった。

「......。」

彼は一呼吸おいたら、もう一度話し出した。

「そういいきれるのは、もしかして、『私が間違えてない』と思うから?」

そう、その通り。やさしい声だった。
そう思ったのに、どうしてか言葉が出せなかった。

第1話 人それぞれの正義の形(2)→



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作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:Sei | 作成日時:2017年6月17日 9時

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