50話 ページ50
あの人――父さんは私をいたぶりながら笑っていたのだろうか。何故か顔を見るのが怖くていつも私は目を瞑っていた。彼が憐れみの表情を浮かべていたなら少しは救われただろうか。
「そういや、デスプレイグが出てこれないからあの教祖、寂しがりそうだな」
「教祖？」
「桐生嗣巷だよ」
確かに彼はデスプレイグのことを話していた気がする。『ディスプレイ』と間違えたとかなんとか。
立ち止まるとまた鎖を引かれたので慌てて足早に歩き始めてからロザリアは今更ながらある疑問を口にした。
「ビスマス。この首輪って何？」
「つけてたほうがペットに見える。外そうか？」
「いえ別に……」
そう答えてしまう自分もなかなかに変だと思った。
首輪も鎖も見た目の割にはあまり重さを感じない。せいぜい何かある程度だ。
「ん？」
今度はビスマスのほうが急に足を止めたのでロザリアは危うくぶつかりそうになった。
「どしたの？」
「……あいつ、そうまでして俺を殺したいのか。見上げた執念深さだ」
そう呟いてから何事もなかったかのように歩くビスマスにロザリアはただ首を傾げるばかりだった。
一方その頃、死ノ城ではちょっとした騒ぎが起こっていた。
死神たちの目はある一点に釘付けになっている。一人が呆然と呟いた。
「デスプレイグ、様……」
死神たちはその場を動けずに廊下の奥から現れた男をただ凝視している。彼は何度も動きを止め、ぜいぜいと喘ぎながら床に爪を立てて這ってくる。
やがて目の前までたどり着いた男の姿に彼らは息を呑んだ。
背中を隠した長い黒髪は苦痛のためか数本白くなっており、顔の右半分は崩れて骨が露わになっている。右眼のあるはずの場所は空洞と化していた。
「シユ……」
デスプレイグは真っ先に駆け寄ってきた和服姿の死神の手を掴んでニヤリと笑うと、掠れた、それでいてどこか獣のような凶暴性を含んだ声で問うた。
「ビスマスは……あいつは、どこだぁ？ 殺してぇんだろ……なァ……俺に、殺らせてくれよ……」
彼はすぐにシユを離すと激しく咳き込んで吐血した。ざわめく死神をよそにデスプレイグは狂ったように笑い出す。
「あ、はっ……ヒャハハッ……アハハハハハッ！！ 殺してやる……！ ズタズタに、引き裂いて……あいつをこの手でッ！」
to be continued.
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ラブ(プロフ) - 私の作品も見てね (2020年9月4日 3時) (
レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
ラブ(プロフ) - にてる (2020年8月21日 19時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» もう一個の方も読んでくれてありがとうございます！頑張ります！ (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ゆるかなさん» ありがとうございます！はやめに更新出来るよう頑張りますね！ (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - 死神ファンタジック大好きです。もう一個の方も読みました！更新頑張ってください！ (2017年5月30日 4時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2016年9月26日 22時
