検索窓
今日:5 hit、昨日:9 hit、合計:62,409 hit

44話 ページ44

どうしていいか分からずにいると男の顔から笑みが消える。怒っただろうか。思わず身構えたが彼は再び壁際に座りこんだだけだった。

「やっぱりいい。あいつの顔なんて見たくない。もう知らない。もう勝手にすればいいんだ。嫌い」

 今度は先程とは違い、どこか拗ねているような言い方だった。

「あ、あの……桐生嗣巷さん、ですか?」

 何て声をかけたらいいか分からずに出た言葉がそれだった。

「あー……うん。そうだよ。君、入会希望の子?」

「入会?」

「そう。えっと、名前は?」

「ロザリアです……」

 入会って何だろう。

「アゼリア?」

「ロザリアです」

「ごめん、ちゃんと聞こえてた。つい言ってみたくて」

「そ、そうですか」

……ビスマスが『親近感湧く』と言った意味が分かる気がしてきた。何か似ている。

「そういやこの前、デスプレイグを『ディスプレイ』と間違えたことがあってさ。『何を展示するんだ!』って、なかなか冴えたツッコミいれてきたよ」

「デスプレイグ?」

「うん。アルネっていう死神の弟が一人居るらしくて、しょっちゅう愚痴ってたよ」

「アルネ……え?」

 この違和感は何だろう。何かおかしい。でも、何が?

「どうもデスプレイグはアルネにとっては死んだことになってるらしいんだよな。なんか人間界には来れるけど、死神界では部屋の中でしか身体が持たないとか」

「アルネさんの兄が生きてる……?」

「生きてるよ。なかなか凄惨なやられ方をしたみたいだけど。本人から聞いたけど、毒の刃で身体中串刺しってやばくない? しかもやったの、同じ死神だよ?」

「悪魔に、やられたんじゃなくて……?」

「確かに悪魔がやりそうだけどね。『役目が終わったらそいつを殺す』って、デスプレイグが言ってた。面白いことに、デスプレイグが『殺された』ことを知っているのは弟と犯人の二人だけだったんだよ」



『ちょうどこんな姿だったな……お前の兄が殺された時』



 知っているのは弟と犯人だけ。ギルバートの死の間際、『彼』は世間話でもするかのように淡々と言ってのけた。

「確か……ビスマスとかいったな。アザレアだっけか。そいつがデスプレイグをやったらしいよ」

45話→←43話 THE GURU



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
39人がお気に入り
設定タグ:死神 , ファンタジー , Twitter創作   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ラブ(プロフ) - 私の作品も見てね (2020年9月4日 3時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
ラブ(プロフ) - にてる (2020年8月21日 19時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» もう一個の方も読んでくれてありがとうございます!頑張ります! (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ゆるかなさん» ありがとうございます!はやめに更新出来るよう頑張りますね! (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - 死神ファンタジック大好きです。もう一個の方も読みました!更新頑張ってください! (2017年5月30日 4時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:田無苑珠 | 作成日時:2016年9月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。