42話 ページ42
適当に流しておいた。そうはいってもあのアスモデウスはロザリアのことをいちはやく気づいていたのだが。
マモンは部屋を出て行こうとしたが思い出したように振り返る。
「あ、そうそう。なあビスマス、例の教祖はどうなった？」
「桐生嗣巷なら死んだ。皮肉にも息子同然のように扱っていたイオの手によってな。よほどショックだったんだろう。さすがのあいつも死ぬ間際に発狂したようだ。そして『とある真実』に気づいたイオも正気を失った。死ぬ時になって初めて意図が分かるのは悲惨だ。はやまるのは良くないな」
「……そうか」
マモンはそれ以上何も言わずにため息をつくと部屋を出て行った。
「血が繋がっていないとはいえ、自ら育てた人間に仇で返されるとは……本人も何故自分が殺されるのか理解していなかったよ。あいつの魂を狩った死神はあいつが誰に殺されたのか黙秘していたが、残念ながら俺にはバレたわけだ。まあ、あいつの意思を尊重してこのことは他の死神には内密にしているが」
マモンが去ってからロザリアがクローゼットから出てきたのを確認してこう続ける。
「それにしても、あいつには結構親近感湧いていたのに残念だ。『ツツジ』を人名に使うって珍しいと思って調べたらなかなか面白かったからしばらく放っておいたけどまさかこんなことになるとは。なあロザリア」
ただ立ち尽くしていたロザリアは名前を呼ばれて顔をあげる。
「あいつに親近感湧いたのって、名前が原因なんだ。『ツツジ』は英名にすると『アザレア』」
ロザリアはふと、ビスマスの部屋の本に挟まっていた花を思い出す。
「アザレア……？」
「そう。それが俺の本当の名前だよ」
「……え、待って。本当の名前はアルネさん以外には教えてないんだよね？ 殺されちゃうから」
「あ、忘れてた」
「え！？」
「でも本当だよ。お前がここへ来たばかりの頃、うっかりぶっ倒れて花瓶割ったことがあるけど、あの時急に心臓が凍ったような気がしたんだ」
「どうして？」
「本当の名前を呼ばれたから。てっきり気づいてたのかと思った」
確かにあの時、思わず花の名前を呟いた。それがまさか彼の本名だったなんて。
「お前とアルネ以外に俺を殺す権利は与えたくない。だから、誰にも言うな」
ロザリアはただ呆然と頷くことしか出来なかった。
「……あいつを殺したのがイオで良かったのかもしれない。他の奴に殺されるくらいなら自分で、とも思ったのかな」
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ラブ(プロフ) - 私の作品も見てね (2020年9月4日 3時) (
レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
ラブ(プロフ) - にてる (2020年8月21日 19時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» もう一個の方も読んでくれてありがとうございます！頑張ります！ (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ゆるかなさん» ありがとうございます！はやめに更新出来るよう頑張りますね！ (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - 死神ファンタジック大好きです。もう一個の方も読みました！更新頑張ってください！ (2017年5月30日 4時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2016年9月26日 22時
