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20話 (流血表現注意) ページ20

「えっと……」

 祭壇の上にいたロザリアは右側と左側のどちらから降りるべきか迷ったが結局左を選んだ。右側にはギルバートが倒れているだろうから本当はそちらを選ぶべきなのかもしれないが、どうしても心の準備なしで直視する勇気が出なかった。
 降りてからすぐに上を見上げるが人の姿はない。もっとも、人でないのは明らかだが。

「ギルバートさん……?」

 少しずつ近づくにつれて足から上までが見えてくる。祭壇側を向いていることは分かった。問題はどういう状態なのか、だ。

「なに、これ……」

――彼の右腕を槍のようなものが貫いていた。

「ぇ……?」

 ギルバートは未だに状況がよく飲み込めておらず、半ば呆然としながら必死に抜こうとしているが、腕を貫いたそれは床にまで到達しており、到底今の彼の力では困難なことだった。
 ロザリアは我に返って槍に手をかけるがビクともせず、混乱して辺りを見渡す。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

 苦しそうな絶叫の直後にブチブチと何かが千切れるような音が聞こえ、そちらに目を向けると身体を起こした彼の右腕から大量の血が噴き出し、祭壇や床を赤く染めていた。

「え!? な、ななにして」

 どうしていいか分からず、咄嗟に千切れた部分を両手でおさえる。血の止め方なんてロザリアは誰からも聞いたことがなかった。
 ギルバートの手がロザリアの肩を掴む。

「おい……」

「え、なに!?」

「もう、平気だ……もう止まった……」

「は!?」

 待って血ってそんな簡単に止まるものじゃないよね!? かすり傷でも治るのに一日はかかるよ!?
 だが疑っている余裕はなく、ロザリアはすぐに手を離した。確かに止まっている。

「悪魔、か……大丈夫……そこ、隠れてろ……」

 荒い呼吸を整えながらギルバートは十字架の下にある扉を指さした。

「ご、ごめんなさいッ!」

 言われた通りに部屋に駆け込むと扉を閉め、奥の物陰に飛び込んだ。自分には何も出来ないのだからいても足手まといになるだけだ。

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設定タグ:死神 , ファンタジー , Twitter創作   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ラブ(プロフ) - 私の作品も見てね (2020年9月4日 3時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
ラブ(プロフ) - にてる (2020年8月21日 19時) (レス) id: bd5d30469e (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» もう一個の方も読んでくれてありがとうございます!頑張ります! (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ゆるかなさん» ありがとうございます!はやめに更新出来るよう頑張りますね! (2017年5月30日 16時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢 - 死神ファンタジック大好きです。もう一個の方も読みました!更新頑張ってください! (2017年5月30日 4時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田無苑珠 | 作成日時:2016年9月26日 22時

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