月 ページ6
目を覚ます。
病室は真っ暗だった。多分今は夜で、明かりがないから消灯時間は過ぎているんだろう。
暗闇に淡い青色の光が2つ浮かんでいるのに気が付く。
窓にはカーテンがかかっているから外からの明かりじゃない。
2つの青色の光は微動だにせず、自分のことをずっと照らしている。
青色の光をよく見るとそれは青い目だった。
どこかで見たことのある目だ。
どこで見たんだっけ？
見たことがあるっていうのは分かるのに、最後にどこで見たのか記憶が曖昧で分からない。
「オ目覚メデスカ？」
知ってる声。
機械的な無感情な声。
そうだ。この声と目を持った奴を探していたんだ。どうして探していたかはよく覚えていないけれど。
何かしなくちゃいけなかった気がしたけど分からない。
「あぁ、起きた。起きたよ。痛いけど起きた」
「無理ハシナイデクダサイ」
「しねぇよ。痛いもん」
お腹の辺りが痛む。まだ痛い。
「ムーン」
「ハイ、ナンデショウ」
「合ってた？」
「エエ、合ッテイマスヨ」
「そうか……よかった」
「目ガ覚メタト聞イテ安心シマシタ。ソレデ……」
「あ」
いない。
友達がどこにもいない。
確かに居たはずなのに。
慌てて起き上がって探すけれど見つからない。
痛いけど、それどころじゃない。
落とした？ それともどこかに行ってしまった？
「あしっど」
「いないんだ。一緒にいたはずなのに、すぐ、すぐ近くにずっといてくれたはずなのに」
「コレデスカ？ べっどノ下ニ落チテイマシタ」
友達だ。ムーンの手の中に確かに友達がいた。
そんなところにいたのか。
「返せ、俺んだ」
「了解シマシタ」
ムーンは友達を優しく自分のそばに置いてくれた。
友達を抱き締めて、またベッドに寝転がる。
「ありがとう」
「ドウイタシマシテ」
「……暗いな」
「今ハ22時15分デスカラ」
「どうしようか、俺ここにいたくないんだ」
続く
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秋瀬 チグ - 僕にもその文才分けて欲しいです･･･!分かりやすく、丁寧で読みごたえがありました。これからも頑張って下さい!コロナに気を付けて。 (2020年12月25日 23時) (
レス) id: 4021f55887 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 起こっていることが想像しやすい綺麗で簡潔な文章…見習いたい…そして、続きが凄く気になる！これからどうなっていくのか…無理せず更新頑張ってください！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: 9fc4b0a5df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年11月5日 21時
