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19年前の話 ページ12

あそこを見てください。白い手袋をした手がよく働いているでしょう?

 えぇ、彼らは手だけの存在です。

 手だけですが彼らは非常に素晴らしい働き者ですよ。

 右手と左手で1つらしいのですが、たまに片手しかないものもいるんですよね。

 もう片方の手と喧嘩別れしたとか、事故でいなくなってしまったとか、最初からそうだったとか、色々言われてますが本当のことは手自身にしか分かりません。

 最初は1組だけしかいなかったんですが、仲間がどんどん集まってきて今では100、200……、いや、それ以上の数がここで働いているんですよ。

 まぁここは、手がいくつあっても足りませんから彼らがいて困ることはないですがね……。

 それでは19年前、彼らがここで働き始めたときの話をしましょう。

 最初の1組がここに来たのは星も月もない、暗い夜のことでした。

 その日の夜の見回りは私の担当だったんですが、途中、すきま風が吹いて持っていたロウソクの火が消えてしまったんです。

 閉館後ですから館内の明かりはついていないし、星も月もありませんから真っ暗で何も見えなくなってしまいました。

 その時でした、ふいにライターを持った手が現れ私のロウソクに火をつけたのです。

 驚いて思わずロウソクを手放してしまいました。

 あぁ、そうですね。火がついたロウソクを床に落としていたら大変なことになっていたでしょうね。

 でもロウソクが床に落ちる寸前、ライターを持った手とは別の手がロウソクをキャッチしてくれたので大事にはならずにすみました。

 手は私にロウソクを返すと、私の服の裾を引っ張ってどこかに連れていこうとしました。

 彼らはどこから来たのか、侵入者がいたと報告しなければなど色んなことを考えましたが、大人しく手に引かれるまま、ついていきました。

そして連れて行かれたのは図書館の裏の通り、求人ポスターの前でした。

 彼らは仕事を探していて、その時に丁度うちの図書館の求人を見つけたということだったんです。

 どこに行っても手だけ、は需要がないらしいんですよね。喋れないというのが大きな原因なんだそうです。

 とにかく人手が足りないうちでは働き手が増える、それだけで大歓迎でした。

そして気がついたらこんなにたくさん手がここで働くようになっていました。

 それでも、人手が足りないんですよねぇ……。

 あぁ、そうだ。

 次は92年前の話でもしますかね。

92年前の話→←43年前の話



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そこら辺の水道水(プロフ) - 神だ・・・神に出会ってしまった… (12月29日 17時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白くて一気に読み進めてしまいました…! (9月13日 21時) (レス) id: b13ee48946 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - タイトルにつられてやってきました!めっちゃ面白いです (2019年8月17日 11時) (レス) id: a124146768 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!タイトルに惹かれて一気読みしました。面白かったです(*^^*)更新楽しみに待ってますねっ。 (2019年8月9日 13時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 何故か声が聞こえてきます......(幻聴)妄想が膨らんでとてもおもしろいです! (2019年8月6日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年7月19日 17時

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