病気とは言わないで２

あの子の行方 ページ46

８日目。

　食堂で朝食を食べていたけど、昨日のことをどうしても引きずってしまって、なかなか食べ進まないでいる。

　あれから一度もイートの顔を見ていない。

　だから、余計に心配だった。

「ユカ、どうしたの？ 元気ないねぇ」

　いつの間にか隣に座っていたジャックが私の顔を覗き込む。

「あっ。ジャ、ジャック」

「ビックリさせちゃった？」

　不安そうな表情でジャックが言う。

「だ、大丈夫だよ」

「そう……。えーと、何か嫌なことでもあった？ そんなときはね。お腹いっぱいになるまで食べて、忘れちゃうのが一番だよ」

　そう言ってジャックは自身の目の前、普通の人だったら３日は食べていけそうな程の量の料理が載った皿ごとあっという間に平らげてしまった。

「あ、それかね、なやみごとは全部、ボクに相談してくれてもいいんだよ？ アリスがね言ってたの男の子なら、困ってる女の子がいたら助けてあげるようにって」

　ジャックがにこりと笑いながら、私の目をしっかりと見る。

「ジャック……」

　しかし視線はだんだんとそれていき、私の食べかけの料理へと向いていた。

「……おなかすいたね」

「あ、えっと、食べても、いいよ。私、食欲ないから……」

　そう言った瞬間、ジャックの顔が輝く。

「ありがとね、ユカ！」

　そうして、私の料理も、お皿も、食器も一瞬でジャックのお腹の中に収まってしまった。

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