食べてもいいの? 2 ページ21
肉が食いちぎられる音。でも、痛みはなかった。
そういうものなのかな? なんて思っていると、私の声だけど私のじゃない叫び声が響いた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ! 痛い! 痛い! 何で私なの! 痛い!」
思わず目を開けてしまった。
そこには血だらけの片手がないもう1人の私と、口から血を流したジャックがいた。
それを見て、昨日のことで少しばかり耐性がついていたらしく、気絶とまではいかなかったけれど動けなくなってしまった。
「……ジャック?」
「痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 何で、何でなの!! 何で、何で…………」
「だって、食べるなら新しい方がいいってお医者さんが言ってたよ。古いものを食べるとおなか壊しちゃうから駄目だって言われたんだ」
ジャックが掴んでいた腕を離した。
「ねぇ、ユカ。おなかすいてるでしょ? 一緒に食べようよ」
やっぱり、ジャックは人間も食べれるんだ。あの職員の人が言ってたのはきっと……。
「嫌、いらない……」
「あ、待って! 生きて動いてる人は食べちゃ駄目ってお医者さんが言ってたんだった! どうしよう! 古い方も新しい方も生きて動いてるのに、ボク食べちゃった!」
急にジャックがぽろぽろ泣き出して、もう1人の私の方へ近づいた。
「来ないでよ!」
「ごめんなさい! 生きて動いてるのに食べちゃってごめんなさい!」
深く頭を下げて、ジャックは大きな声でもう1人の私に対して謝った。
すると、もう1人の私の体がさっきのジャックみたいに崩れ始めて、しばらくすると、またよく分からない何かになってしまった。
「あ、ユカじゃなくなっちゃった。でも、ごめんなさいしなく」
「もういい! 私は誰かも分からないんだから!」
ジャックが言い終わる前に、何かはそう叫ぶと形容しがたい動きで階段を降りていってしまった。
「行っちゃったね。キミは本物のユカなんだね。何か食べに行こう」
「あ、その、1つだけ……。聞いても、いい?」
「ん? いいよ」
「ジャック、は、死んでる、人だったら……、食べる、の?」
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時