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わたしはだぁれ? 4 ページ17

「あ」

 またジャックが急に立ち止まった。

「……何?」

 ジャックは何も答えずに階段の方を見ている。

 私も階段の方を見た。下の階に行く方には何もないなかった。上の階に行く方を見ると、人が立っていた。

「……ボクだぁ」

 ジャックが階段の真ん中辺りに立っていた。

 階段のジャックは私の隣にいるジャックと全く同じ見た目で、区別がつかない。

「……ぼくだよ」

 階段にいる方が喋った。でも、声が違う。

 私が知ってるジャックの声じゃないけど、聞いたことのある声。

「ボクと声が違うねぇ。キミはだぁれ? お腹すくと声が変わるの?」

「間違えちゃった。キミはこんな声じゃない」

「あ」

 分かった。この声は私を案内してくれた職員の人の声だ。

 でも、どうして……。

「ユカ? 何かあったの?」

 隣にいるジャックがこっちを見る。

「おなかすいた?」

「いや、そういう、ことじゃ……」

「そっか、ジャックはそういう声だ」

 階段にいるジャックはそう言って喉に軽く手をあて、にっこり笑った。

 何回か咳払いをしたあと、階段にいる方が喋り出した。

「ユカ? 何かあったの?」

 今度は完璧にジャックの声。

「お腹すいた?」

 今にも階段から転げ落ちてしまいそうな動きでもう一人のジャックが階段を下り始めた。

 階段を一段ずつ下りる度に、ジャックの姿が歪になっていく。

「ユカ、君がいいな」

 また声が変わった。今度はスリープさんの声。

「僕はあなたじゃないけど、君は私じゃないし、あたしはお前だよ?」

 訳の分からないことを言いながら、こっちにふらふら近づいてくる。

「ユカ、ボクがおかしいね、ゆがんでる。おなかすきすぎたのかな?」

 どう考えてもあまりよくない状況なのに、私の隣のジャックはのんきに笑っていた。

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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時

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