わたしはだぁれ? ページ14
5日目。
パッと目を覚ますと、そこは私の病室だった。
また気を失ってしまっていたらしく、ついでに日付も変わっているようだ。
私のベッドの側にはジャックがいて、私のことを心配そうに見ていた。
「ユカ。また倒れたって聞いて心配した」
「え、あ、あの……、心配して、くれて、……ありがとう?」
「お礼を言うことじゃないよ」
「……嬉しい、から、言いたい」
誰かに心配されることなんかなかったから、素直に嬉しかった。
「…………ユカ。ボクね、考えたんだ」
やけに真剣な顔でジャックが言う。
「……えっと、何を?」
「ボクね、ボクね。これからどうしようか考えたの、ユカと、ボクのこと」
「え?」
ニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべて、ジャックは私の手を握り、私の耳元に顔を近づけた。
「今はまだ教えてあげないけどね、へへへ」
ささやくようにそう言うと、ジャックは何故かぎこちない歩き方で病室から出ていってしまった。
ジャックのものと思われる鼻唄がどんどん遠ざかっていって聞こえなくなった。
これからのことと言われても何のことか分からない。それに何か変な感じだった。
何だか、ジャックだけどジャックじゃないみたいな……。
ベッドから起き上がって考えているとバタバタと廊下を走る音が近付いてきた。
勢いよくドアが開いてさっき出ていったばかりのジャックが飛び込んできた。
「ユカ!」
元気よく病室に飛び込んできたジャックは勢いそのままに、私のベッドに潜り込んできた。
まるで当然というように私にぴったりとくっついて、嬉しそうに笑っている。
「ユカ、あのね、廊下すごいことになってたよ、穴とかたくさんあいてた。……ちょっと食べちゃったけど大丈夫だよね……、ユカ?」
さっきまでと全く違う態度にどう対応したら良いか分からなくなっていると、ジャックは私の顔を覗き込んできた。
「どうしたの? おなか減ってるの?」
「いや、そうじゃ、なくて……。あの、その」
「お医者さん呼ぼうか?」
「いや、そういうことじゃ……」
さっきはどうしたのか、それを聞けば良いだけなのに、言葉が詰まってしまって上手く話せなかった。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時