医者と△△ 2 ページ12
「一体何があったって言うんだ」
ハッパは首と体が離れて体はぐちゃぐちゃ、ユカは倒れているし、ロウはエイトに押さえられているし、廊下はめちゃくちゃだ。
「わぁ、なにこれ」
スラムも知らなかったようで、驚いているようだ。
こんな酷いことになってるなら、もっと早くに来るべきだった。
患者のことをちゃんと考えられず、こんなに酷いことになるまで放っておいてしまうなんて、医者失格だ。
駄目だ、もう医者を辞めよう。辞めて首を括ろう。
でも、私の代わりが……。あぁ、どうしよう。
スラムががっくりとうなだれている私の顔を覗き込んで、ニヤリと笑う。
「落ち込んでる場合じゃないよ、ほら、お医者さんの仕事しなよ」
と、べちゃりという音と共に背中を押された。
「そうですね……、やるしかない…………」
「お医者さんにしかできないよ」
「でもなぁ……、もう少し頑張るか。さて、何があったのか教えてくれますか?」
「また、悪いことをした」
『面倒事があった』
「わっ、私はよく分からないです……」
(し、ら、な、い)
「僕も知らない、今来たばかりだからね」
誰もまともに答えてくれない。
先程聞こえた音や、この状況を見て大体のことは予測できるが、それでも分からない部分はある。
だが、とりあえずこの中で一番重症であろうハッパをどうにかしなければ。両手両足が折れてしまっているから、早く治療してやらなければ。
それからロウの腕を押さえて…………。
『疲れた、もうそろそろ……、限界だ』
「何だって? もう少し待ってください」
『長くいすぎた。そろそろ戻らないと、こいつが辛い』
エイトがイートを見ながら言う。
まずい、今元の髪に戻られてしまったらロウを押さえるものがなくなってしまう。
そうしたらまた怪我人が出る。
その前に新しい拘束具を用意しなければいけないのに、新しいのを管理している看護師は帰ってしまったなんて。
ハッパも早く治療しなければならないのに。
「もう少し頑張ってください」
『だが、どうしたって、体力には限りがある』
ゆっくりと何回もエイトはまばたきを繰り返している。本当にそろそろ限界のようだ。
「あぁ、駄目だ。また傷付けてしまう」
「ロウ、それだけは絶対にさせません。大丈夫」
エイトがするすると縮んで元の髪に戻っていく。
「駄目だ!」
拘束が解けて腕が暴れだすより早く、私はロウの腕を力ずくで押さえ付けた。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時