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消えた守護者 3 ページ44

怖い。

 怖いよ。

「あんたさ、まじでムカつくんだよね」

「何なのその髪、ホントは染めてるんでしょ? 髪染めるの禁止されてるのにずるくない?」

「それ地毛って言い張るとか痛すぎでしょ」

「今から切って、染め直してあげる」

「大丈夫! 私達、そういうの得意だからさ」

 怖くて体が動かない。

 涙が溢れてこぼれる。

「すぐ泣けばいいと思って」

 じょき。じょき。じょき。

 耳元で聞こえるハサミの音。

 足元に私の髪の毛が落ちていく。

 怖くて、怖くて抵抗できなかった。

 私はただ泣いて怯えることしかできなかった。

 怖いよ。嫌だよ。こんな酷いこと、どうして。

 生まれもった髪の色。普通じゃあり得ない水色の髪。望んでそうなった訳じゃないのに。

 それだけでこんなことになってしまうなんて。

 誰か、誰か助けて。

『たすけてあげるよ』

 頭のなかで声がした。

「お願い、助けて……」

「こいつなんか言ってるよ」

「うわ、気持ち悪い」

「私を、助けて」

『いいよ、たすけてあげる』

「何ぶつぶつ言って、ぐぇ」

 水色の太い腕があいつの弾き飛ばした。

「何なの?」

「……化け物!」

 他のやつも腕は捕まえて、床に叩きつけた。

『助けてやる。お前を傷つけるやつは容赦しない』

 低い声でそう言ったのは、私の髪の毛だった。

 それは私の髪の毛が長く伸びて大きな固まり、髪の毛とは思えない、まるで生き物のような見た目になっていた。

 鋭い歯が並ぶ大きく裂けたような口、私の倍以上の太さがある頑丈そうな腕、ギラリと光る黄色と赤色の目。

「……私を、守って、くれるの?」

『あぁ、勿論だとも。私はお前を守るためにここにいる。お前に害をなすものを排除し、お前がいつまでも幸せに笑って過ごせるように、その為だけに存在している』

「あ、……ありがとう」

 私を守ると言ってくれた。それが嬉しかった。

 ずっと一人だった私に、初めて私のことを守ってくれる存在ができた。

 これでもう、こんなに怖い目に遭わずに済むのかな?

『もう大丈夫だ。泣かないでくれ』

 そう言ってエイトは私を優しく抱き締めた。

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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時

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