医者と◇◇ ページ36
「わたしだけのおにいちゃん。わたしのなの。わたしの」
肩の辺りまで凍りついたソウイチロウに抱き付いて着物の少女はぶつぶつと繰り返していた。
凍らされたのと、彼女の周りは気温が下がるからかソウイチロウはただの死体に戻ってしまっているようだ。
私の気配に気がついたのか、ユキはこちらを睨み付けた。
「そこにいるのはだぁれ？ ユキ、わかるんだよ。そこにいるんでしょ？」
「えぇ、私はここにいますよ」
「おにいちゃんをうばいにきたの？ でもだめだよ、これはユキのだもん」
さらに強くソウイチロウを抱きしめユキは言う。
「別に奪いに来たわけではないのです」
この子とソウイチロウをまずここから移動させなければ。
とりあえずここから一番近い病室に連れていこう、この子も多分他の患者と同じようなものだろうから。
「じゃあなに？」
「２人でずっと一緒にいられる場所を教えてあげますよ」
「ほんとうに！？」
ユキはぱぁっと顔を輝かせた。
確か２１２が空いていたはず。そこにひとまず連れていくことにしよう。
ユキが触れているところは凍ってしまうようだし、２人一緒でも問題ないと思った。
「そこに階段があるでしょう？ そこを上った先に、２人でずぅっと一緒にいられる場所があるんです。さぁ、早速行きましょう！」
「うん！ いく！」
「おにいちゃんは私が運びましょうか？」
「だめ！ ユキがつれてくの」
そう言うとユキは完全に氷漬けになったソウイチロウを引きずって移動させ始めた。
どこにそんな力があるのか分からないが、氷の塊を引っ張って何とか階段を上がり、２１２まで運び込むことが出来た。
私は声でユキを誘導するだけだった。途中、凍った階段を上がるのは怖かったがそれ以外は特に問題はなかった。
「ここなら、ずっと一緒にいられますよ」
「ありがとう、とってもうれしい。これでおにいちゃんとずっといっしょに、だれにもじゃまされないんだ」
とても嬉しそうな顔をした後、ユキはこちらを睨んだ。
「みえないひとはでていって。もうユキとおにいちゃんをばらばらにしないで」
氷の範囲が広がっていく。
これは危険かもしれない。
「えぇ。出ていきます。もう邪魔はしませんよ……」
そう言って病室から出た途端、扉があっという間に凍りついて開かなくなってしまった。
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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです！どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます！ (2022年8月21日 7時) (
レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ！！！応援してます！ (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年6月9日 16時
