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ぷるぷるした人 2 ページ2

「スラム、それにユカまで」

 飛び込んだ病室にいたのはロウさんだった。

 今日はニット帽は被っておらず、顔も全部見えていたので、かなり驚いた表情をしているのが分かった。

「二人とも私に何の用が? 急いで飛び込んでくるほど大事な用だったのかい?」

「いやぁ、ゴメンね。ちょっとハッパに吹き飛ばされそうになってさ、匿ってくれない?」

 はぁ、とロウさんは溜め息をついた。

「分かりました。でも彼女は見境がないようだからね、私も吹き飛ばされてしまいそうだ」

「うーん。やっぱそうだよねぇ」

「スラム、静かに」

「ねぇ! どこに行ったの!? 逃げても無駄! 逃げられないよ! 吹っ飛ばして粉々にしてあげるから出てこいよ!!」

 廊下の方から、ハッパの声がする。

 私たちを探しているようだ。

 一つ一つ病室を見て回っているようだったが、いつまでたっても何故かここにハッパは来なかった。

 そして声はだんだん遠ざかっていって聞こえなくなった。

「行ったね」

「行った」

 すると、少年はドロリと崩れて先程のようなスライム状になってしまった。

「えっ……、あ……。何で……?」

「あぁ、彼はあまり長く人の形でいられないんだ。だから崩れてしまった。休憩時間が必要なんだ」

「はぁ……、そう、ですか……」

 正直、少し焦ってしまった。でも、何も問題がないようなので少しほっとした。

 しかし、少年はこの状態だと喋れないようで、ただプルプルと揺れているだけだった。

「あ、そういえば……」

「どうしたんだ?」

「どう、して……、ハッパは、ここに…………」

「あぁ、彼女は私が怖いんだ。実はこの前、ちょっとしたことがあってね……」

 と、ロウさんは困ったような顔で笑った。

「ホントはちょっとどころじゃないけどね」

 いつの間にか人形に戻っていた少年が言う。

「あ、そうそう。君ユカだろ? スリープが言ってた。僕はスラムっていうんだ、以後お見知りおきを」

 崩れかけた手で私の手を取り、スラムは満足そうな顔をした。

「やっぱりいいね。女の子って、柔らかくていい匂いがする。それに温かいね。それから……」

 言い終わらないうちに、スラムはまた崩れてしまった。

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ぺぽん(プロフ) - すっごく面白いです!どのキャラも個性的で読むのが楽しい🎶応援してます! (2022年8月21日 7時) (レス) @page49 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
ペンバタのサブ - 神作だあああああああ!!!応援してます! (2022年4月11日 15時) (レス) id: a2299a2d24 (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» 投稿しました!(返信不要です) 衛生兵079様の他の作品もいつも拝見させて頂いております...沢山の素敵な作品をありがとうございます💓😭 (2022年2月6日 17時) (レス) id: 267274e32b (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 頭は痛くないさん» 大丈夫ですよ。 (2022年2月6日 16時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
頭は痛くない(プロフ) - 衛生兵079さん» ありがとうございます(TT)描き終えたら私の作品の“デジタルなイラスト集”に載せたいのですが大丈夫でしょうか、もちろん衛生兵079様の作品のキャラクターだということは明記致します (2022年2月6日 14時) (レス) id: 82fde595ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年6月9日 16時

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