暗い ページ46
「……は？」
「この状況ならお前が犯人ってことに出来るはず。馬鹿みたいな考えだが、あいつが裏で色々やってくれるさ、多分ね」
言っている意味が分からない。何も悪いことはしていないのに。
「それに…………て、……あ………」
声が聞こえない。
声だけじゃない、何も聞こえない。
目の前が暗くなってきた。
本当にまずい。
暗い。真っ暗だ。
それにすごく眠たい。
疲れたし、もう眠ってしまおう、そう思い目を閉じた。
その後、体が揺れたような気がしたが、何がどうなっているか分からない。
暗い中をゆっくり落ちる。
ボーッとしていると、意識がプツリと一瞬だけ途切れた。
意識が戻ると、そこはさっきまでとは全然違う場所だった。
小説、絵本、漫画、医学書、歴史書、植物図鑑、辞典、たくさんの本が綺麗に本棚に納められている。まるで図書館みたいな部屋だ。
足元には、さっきまで読んでいた絵本が散らばっている。
「もとのばしょに……」
一冊づつ拾って、元の場所に戻そうとするがどうしても今の身長じゃ届かない。
踏み台はさっきうっかり踏み抜いて壊してしまったから、使うことができない。
「んー」
思いっきり背伸びをして、腕を目一杯伸ばしても届かない。
こんなことなら、本棚の一番上の本を取らなければよかった。
「アシッド、何をしているんだ？」
「あ、おとうさん」
声を掛けられ振り向くと、お父さんがいつもより疲れた顔をして立っていた。
「ごめんなさい。ふみだいこわしちゃって、ほんがね、もどせないの。ごめんなさい」
するとお父さんは、自分が出した本を一冊一冊丁寧に元の場所に戻してくれた。
「これでいいか？」
「うん、ありがとう」
お父さんが部屋の隅に置いた踏み台を見た。
「壊れているな」
「……ごめんなさい」
「怪我はなかったか？」
「すこし、あしすりむいちゃっただけ、だいじょうぶだよ」
「……ちっ」
「おとうさん？」
「何でもないよ、アシッド」
にっこりとお父さんは笑って見せた。でも、目が笑っていないから少し怖い。
「ほら、夕飯が出来たみたいだから早く行こう。お母さんとアルカが待ってる」
そう言ってお父さんは、自分の手を引いて歩き始めた。
「おとうさん、あのね」
「どうした？」
「ぼくね、おとうさんみたいに、おくすりつくれるひとになりたい。それでね……」
がしゃんと大きな音と共に、床に叩きつけられた皿が割れた。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
