死にそうだ ページ45
「ムーン。……あぁ、死にたくない」
目の前でにやにや笑っている若い男の顔を殴る。さっきのムーンみたいに若い男は吹っ飛ばされた。
でもナイフはまだ刺さったままだ。痛い。
殴られた頬を押さえて若い男はこちらを睨み付ける。
「は？ 何お前、今さら抵抗すんの？ ウザいんだけど」
「俺も、お前に酷いことしたくなったんだ。大丈夫だろ、それくらい。俺はもっと痛いし……」
「笑ってんじゃねぇよ、くそが」
なぜだか分からないけどにやけてしまう。楽しくもないのに、おかしいな。
「はははははは、もう一回やる？ もっと痛いことしようか？」
「うるさい。大人しく殺されろ」
「嫌だ」
突然、インターホンが鳴った。
「あ、お客さんだ」
でも出られる家族はこの家にはもういない、自分はこの家の人じゃないから勝手に出るのもおかしい。どうしようか。
「誰だよ、くそが」
考えていると、若い男は何の迷いもなくインターホンに応じた。
「はい、どちら様でしょうか？」
『警察です』
どこかで聞いたことのある声がスピーカーの向こうから聞こえてくる。
「警察？ 警察が何の用ですか？」
『いや、女の子から直接連絡がありましてね、ここに殺人鬼がいるって』
「いやだなぁ、そんな人いませんよ。大丈夫です」
『……そうですか、じゃあお話だけでも聞かせてください。直接会って話しましょう、ここを開けてください』
「大丈夫ですから、お引き取りください」
『いえ、そういう訳には……』
目の前がぐらぐらしてきた。血が足りない。
ムーンは倒れたままだし、若い男はインターホンの向こうの奴を追い返すのに夢中になっている。
今なら逃げられるかな？
駄目だ。動ける程元気じゃない。それに音が遠くに聞こえてぼんやりする。
「分かったよ！ 開ければいいんだろ！？」
急に若い男が叫んだ。そして慣れた様な手つきで玄関のロックを解除し、インターホンの電源を切った。
もう立っているのが限界だ、体から力が抜けて倒れてしまった。
うつ伏せに倒れたせいで刺さったままだったナイフが余計に深く刺さる。痛いとても痛い。
１日の内に２度も倒れるなんて、情けない。
誰かが背中を踏みつけた。
「気が変わったんだ。僕の代わりにお前が捕まれよ。死にたくないだろ？」
若い男だ。一体何の話をしているんだ？
「生きて捕まって、僕の代わりになって皆を安心させてやれよ。そうしたらもっと自由に殺せる！」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
