ここを開けて ページ40
自動ドアをガタガタ揺らすが、しっかりと閉まったままで開きそうにない。
早く欲しいのに、こんなところで足止めされるなんて。
「開かない。どうすりゃいいんだよ、こんなの初めてだ、クラウディのやつどうして言ってくれなかったんだ」
「あしっどナラドウニカ出来ルト思ッタノデハ？」
「……あいつのことだからそうなんだろうなぁ。えっと、これって来客の場合はインターホン押して入れてもらうんだよな？」
「大体ソンナトコロデス」
自動ドアのすぐ横にあるそれぞれの部屋のインターホンが並んでいるところの方を向く。
ここのマンションは３２階まであるらしい。
「あの家族はどこの部屋だ？」
「２９０２デス」
言われた通りの部屋番号が書かれたところのインターホンを押す。
少し待つと、若い男の声が出た。
『はい、何でしょうか？』
「家に入れてくれ、その前にここを開けて欲しいんだ」
しばらくの沈黙。何か悪いことでも言っただろうか？
「ソノ言イ方デハ怪シスギテ開ケテモラエナイノデハ？」
「そうかな？ いつもこんな感じだぞ？ 早く、早く。寂しいんだ、家族のところに行きたい」
「ソレデヨク入レテモラエマシタネ」
「ドアさえ開けてもらえば、すぐだ」
『……どうぞ、お入りください』
笑いをこらえたような声でインターホンの向こうの男が言うと、さっきまで閉まっていた自動ドアが開いた。
「開いたぞ、行こう」
「マサカ、開ケテモラエルトハ……」
自動ドアを通って中に入ると、階段とエレベーターがあった。
目当ての部屋は２９階だから……。
「ムーン、階段で行こう」
そう言うとムーンは驚いた顔をした。
「階段デスカ？」
「うん、階段」
「２９階ナラえれべーたーヲ使ッタ方ガ早イト思イマスヨ」
「でも……、怖いんだ。だってエレベーターってたまに落ちるんだろ？ それに狭くて嫌だ。だから乗りたくない」
子供みたいだと、自分でも思う。
でも、どうやったって苦手なものは苦手だ。
「ソレナラショウガナイデスネ、行キマショウ。向コウモ待ッテイルハズデス」
「そうだな、行こう」
階段を上がっていく。早く行きたいので、自然と早足になる。
始めは１段ずつだったのがいつの間にか２段飛ばしになって、最後の方は３段飛ばしで階段を上がっていた。
２９階に着いた頃にはすっかりへとへとになっていたがそんなことはどうでもよかった。
すぐそこだ。もうすぐで、家族に会えるんだ。
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
