まともでいること ページ30
「今マデノ考エヲヒックリ返サレタヨウデス」
「気持ちは分かるさ、俺もそうだった。下はまだ皆が思うような正義なんだが、上が駄目だった。現実はそうだったんだ。分かったかな? ムーンちゃん」
「ヨク分カリマシタ。でーたヲ書キ換エナクテハ」
「話終わったか?」
「あぁ、まぁ終わったかな」
「じゃあケーキ取ってくれ」
ケーキが入った箱を指差して言うと、クラウディは少し嫌そうな顔をしたが、チョコレートケーキを取ってくれた。
タルトがのっていた紙の皿をテーブルの端に寄せてチョコレートケーキ食べ始める。
「美味いか?」
「うん、美味い。でももうちょっと甘い方が好きだ」
「食いながら喋るな、行儀悪いし、汚いぞ」
「じゃあ話しかけるなよ」
「ほら、こぼしたぞ」
クラウディが話しかけるせいで、口からこぼれて床に落としてしまった。
もったいない。
床に落ちたそれを拾ってまた口に入れる。
「衛生上アマリヨクナイデスヨ」
「まぁ、大丈夫だろ。ちょっとジャリジャリするけどな」
「デスガ……」
「今日はまだまともな方だから大丈夫だろ、ちゃんと会話できてるし」
と、クラウディがにやにや笑いながら言う。
「マトモ?」
「2週間前来たときこいつ猫を生きたまま食ってたんだぞ、それに比べりゃ床に落ちたケーキ食うのなんて何でもないさ」
「たまたま部屋に迷い込んでた白い猫でさ、首輪してたなぁ。美味しそうに見えたんだよ、でも毛が喉に引っ掛かって不快だった」
「ソッチノホウガ衛生面ガ心配デスネ」
「そういう問題じゃないだろ。とうとう本物の化け物になっちまったんじゃないかって焦ったんだからな」
「俺は人間だぞ。化け物にはならない」
「そんだけ焦ったってことだよ。部屋真っ暗にしてぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃって目光らせてさ、まともなわけがない、こんなの」
「ソンナコトガアッタンデスカ……」
「他にもあの家族ごっことか色々ヤバい話があるんだ。ホント正気の沙汰じゃない。酷いときは会話すらまともに出来ないんだぞ!?」
「同時に12人と付き合ってるお前もまともじゃないと思うけどな」
「12人? 勘違いするなよ、18人だ。それに俺はまともな常識人だ、お前と違ってな」
「まともな奴は1人としか付き合わないだろ。本当にそろそろ刺されるんじゃねぇの?」
「ドッチモドッチナ気ガシマスガ……」
小さな声でムーンが言う。
「いや、本当に俺はまともだぞ。悪いことはしないしな」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時