夢を見ている ページ25
ふわふわする。あれは飴玉かな？
違う。なんだろう？
視線が低い。もっと大きければあれに手が届くのに、今の自分は子供くらいの身長しかない。
「ねぇ、君はどう思う？」
「さぁ、僕には分からないよぉ」
けたけた笑いながら友達が言う。
何でも知ってる友達に分からないなら、自分だって分からない。
「良い子にしてたら、お母さん迎えに来てくれるよね？」
「さぁ、僕には分からないよぉ」
さっきよりやかましく友達が笑うから、頭がきんきんして、耳鳴りが酷い。
耳鳴りが最大になったとき、急に友達が壊れた。
可哀想に、壊れた友達からたくさん手が生えてくる、手は子供のものから大人のものまで様々だった。
「お母さん？」
お母さんの姿は見えない。やっぱり良い子じゃないから迎えに来てくれないんだ。
手は虫みたいに蠢いている。
たまにこっちを指差して何か言っていくるが、何を言っているかは分からない。
「お母さんは？ お父さんもどこ？ あぁ、後、覚えてないけど妹が……」
「黙れ」
「……」
すぐに口を閉じた。言われた通りに出来るのが良い子だって、シスターが言ってた。神様も喜ぶって、だからきっと家族も喜んでくれるはず。
「泣け」
涙がこぼれる。
「笑え」
涙を引っ込めて無理矢理笑う。
「死ね」
「嫌だ！」
まだ死にたくない！ やだ！
だって、まだ家族と幸せに過ごしてない。
ぽろん。ぽろん。ピアノの音がする。
本がたくさん落ちてきた。地面から植物が生えてくる。色々な道具ががらがら落ちてくる。
「よくできたね」
「すごい」
「本当によくやった」
何でも出来るようになった。
褒められたくて、愛されたくて、たくさん練習して、覚えて、でも、お母さんは。
「馬鹿な奴」
手の塊に突き飛ばされた。
「いくらやったって、お前のものにはならない。いくら話したって、お前を誰も信じない」
「馬鹿な奴」
「可哀想」
「手を貸してあげるよ」
見たことある顔。確か、同じ研究所にいた奴。
こいつは、嫌いだ。なのに、こんなところにまでやって来るなんて！
「それはお前のじゃないだろう。ホントはそっくりそのまま俺のもんだ」
頑張ったのに持っていかれてしまった。
「返せ。返せ。俺のなのに、なんで……」
「あ、これはお前のだ」
小さな瓶に入った液体。
それが自分の背中に当たって割れた。変な音と臭いがする。
痛い。痛い。
すごく痛い。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
