帰り道 ページ23
「デモ、使エバナクナルモノデス」
「なくなったらまた貰えばいい。帰るぞ、準備はできてるか？」
「問題アリマセン」
一応最後に忘れ物がないか家を見て回る。自分の物は置いていくわけにはいかない。だが、忘れ物も何もないようだった。
「じゃあ行くかぁ」
「ハイ」
家を出るとすでに日が沈んで月が出ていた。
「今何時だ？」
「２２時１４分５８秒デス」
「お腹空いたなぁ……、何も食ってねぇや」
思い返せば１日以上何も食べていない。家の中に戻って何か食べようかと思ったが、もう出てきてしまったし戻るのが面倒なので諦めた。
自分の家に向かって歩き出す。この時間は誰も出歩いていないから、誰にも会うこともなくて快適だ。
自分のすぐ横をムーンがちょこちょこと付いて来ている。
「……約束」
ボソッとムーンが呟く。
「あぁ、約束。話すよ」
あくびがでた。少し眠くなってきた。家に帰ったらすぐに寝よう。
「この国で多くの、ほとんど全員に信仰されてる宗教なんだけどなぁ、そのお話の中で悪魔、化け物、鬼、あとまぁ色々悪いもの、全部に共通してたのが赤。この色な」
自分の目を指差して言うと、ムーンはうんうんと頷いた。
「その悪いやつが持ってた赤ってのが、皆信じてる神様の嫌いな色でもあったんだ。赤いものは全部排除しろってその神様は言ったらしい。ほら、今だってどこにも赤がないだろ？」
「ココニハアリマスヨ」
「俺の目以外でだよ」
「……確カニアリマセンガ、アクマデ宗教ハ架空ノモノデス、ソコマデ徹底スル必要ガ？」
「あぁ、確かに。でも宗教以外でも赤が嫌いになる理由はあったみたいだぜ？」
「例エバ？」
「大昔にこの国を滅ぼそうとした奴らは赤い鎧を着ていた、１５０年前都市のほとんどが燃えた火事のときは炎で町が真っ赤に染まった、１００年前国民を虐殺した独裁者は俺と同じ赤い目だった、５０年前国を恐怖に陥れた殺人鬼の髪の色は血のような赤だった」
「悪イモノ、デスカ」
「そうだ。有名なのを挙げさせてもらったが他にもたくさんある。この国にとって悪いことは全部赤が関係しているんだ。だから赤いものは悪だ、恐ろしいもの、排除すべきだ、それが今も消えずに残ってるんだ」
「赤ガナケレバ安寧ガ保タレルト」
「どうだろうな。悪いものだからってない方がいいとは限らない。そのせいで国内でじゃ食えないのもあるしな。リンゴとか知らないだろお前」
「知リマセン」
「だろうな」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
