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幸せな家族 ページ1

どうしても眠れなくて目が覚めた。

 風呂場からずっと響いてくる水音が、安眠を妨害している。何故か心に不安を募らせる、そんな音だった。

 たくさん遊んで疲れているのに……、そう思いつつ友達をベッドに残し、重い体を起こして風呂場へと向かった。

 ポタポタと閉まりきっていない蛇口から水が漏れていた。蛇口をしっかりきつく閉めたとき、それに気がつく。

 壁にすっかり黒くなった血がついている。さっきシャワーを浴びたときは気が付かなかったものだ。

「あ、今日の風呂掃除の当番はお姉ちゃんなんだけどなぁ……」

 キッチンの冷蔵庫に張られていたお手伝いの当番表を思い出しながら呟く。

 血のついた壁を風呂掃除用のたわしで軽く擦ってやると、以外と簡単に血の跡は落ちた。

 その後、そこをシャワーで軽く洗い流し寝室へ戻ろうとしたが、すっかり目が覚めてしまったため、戻っても眠れそうになかった。

 眠くなるまで何かテレビでも見ようかとリビングに向かう。
 
 リビングにはもうかなり遅い時間だと言うのに家族が全員揃っていた。

 みんな仲良く楽しそうにソファーに並んで座ってテレビを見ている。下らないクイズ番組で司会者が不正解だった奴を馬鹿にして笑っていた。

「おい、お姉ちゃん。ちゃんと掃除しておくんだぞ、与えられた役目はちゃんと果たせ。お母さんもお父さんもなんか言ってやれよ」

「……」

「……」

「……」

「なぁ、お前もそう思うよなぁ、弟君よぉ」

「……」
 
「おじいちゃんもおばあちゃんもこんな夜中まで起きてたら健康に悪いぜ? 早く寝た方がいいんじゃねぇ?」

「……」

「……」

 弟を無理矢理立たせソファーに座る。ただ、座れないのは可哀想なので、弟は自分の膝に乗せてやる。

「お前結構重いなぁ。あんなに身軽に動いてたのに、中身は結構詰まってんだな」

「…………」

「また明日も遊ぼうな」

「………………」

 誰も動かない。喋らない。

「いやぁ。こんな幸せな家族に囲まれて、俺はもっと幸せだよ」

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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時

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