誰か、誰か ページ49
お腹にしっかり張り付いて、締め付ける虫を無理矢理剥がそうとするが、中々取れない。
ようやく引き剥がせる！ そう思った瞬間。誰かが自分の腕を掴んだ。
「誰だ！ 触るな、離せ！」
振り払おうとしたが、思っていたより力が強く振り払えなかった。
「お前は、あ、だ、誰、だ？」
腕を掴んでいたのは、見たこともないどろどろの辛うじて人形を保っているようなやつだった。
そいつの周りにはなぜか、虫は一匹もいない、それにどこか安心するような感じがした。
しばらくそいつを見ていると、そいつの口があるであろう辺りがぽっかりと開いた。パクパク開いて、何か言ってるようだが上手く聞き取れない。
「何だ？ もっと、はっきり……。っ。痛い」
また強い痛みがはしる。やっぱり早く引き剥がさなくては。
もう大分剥がれてきているからもう少し。
捕まれていない方の手を使って、無理矢理虫を取ることが出来た。
思っていたよりも虫は長くて、２メートルくらいあった。
痛い、気持ち悪い。
虫は取ったはずなのにまだ痛い。
「あしっど」
聞いたことのある合成音声。
そいつが言ったみたいだ。
「目ヲ覚マシテ」
また暗くなった。
暗い、落ちる。何もない真っ暗な中を落ちていく。
しばらく落ちた後、どこか見たことがあるところに落ちてきた。
長い廊下。カラフルなドアがたくさん並んでいてとても明るい感じがした。
「おい」
誰か子供の声。
「お前だよ、悪魔」
声の方を見ると、自分より少し上くらいの男の子がいた。
「あ、その……」
「喋るな、気持ち悪い！」
頬に衝撃が走る。痛い。ビンタされた。
「シスターが言ってたぞ、お前は悪魔だって。この世にいちゃいけない悪いものだって」
青い目は少し怯えているような感じがした。
喋るなと言われたから黙って、その子を見ていると、今度は思いっきり蹴られた。
「その目で、こっちを見るな！！」
そう叫んで、その子はどこかに走り去ってしまった。
きっと今日の夕食は食べられないだろう。
でも、良い子にしていなくちゃ、そうしないとお母さんが迎えに来てくれない。
いつ来るかな？
ちゃんと良い子にしなくちゃ。
「結局迎えに来なかったのに？」
「黙れ、お前に言われたくない」
「僕は、良い子にしてたよ？ なのに、来なかった」
「まだ、良い子じゃなかったから……」
全部独り言。自分で言ったって、気休めにもならない。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
