せめて警告を ページ33
「あぁ、もちろん。幸せだとも、これを見てくれよ!」
と、クラウディがやたらと分厚い封筒を取り出した。
封筒を開け、中身を机の上に出すとそれはこの家族の幸せな日常の風景を写した写真だった。
「前回持って来忘れたやつでさ、依頼の件忘れてるかもしれないと思って持ってきておいてよかったよ」
家族揃って楽しそうにご飯を食べてる写真、多分遊園地でマスコットの着ぐるみと母親と一緒に子供が笑ってる写真、父親と同じ格好で子供が昼寝をしている写真、たくさん幸せそうな写真があった。
「あぁ、いいなぁ。温かい、あ、いいなこれ、えへへ、好きだなぁ、欲しい。本当にくれるのか?」
「あぁ、もちろんさ。これ住所と自宅近辺の地図な」
「うん。分かった、分かった、はぁ、ははは、嬉しいなぁ」
「心拍数ガ上昇シテイマス、何カ問題ガアッタノデショウカ?」
「ん? あぁ、ムーンちゃん、こいつはこれが正常ってのも変な話だが、なんと言うか、心配することじゃないさ」
「ソウデスカ、記録シテオキマス」
「悪いが依頼の話もちゃんと記録しておいてくれ、最悪あいつ忘れちゃうからさ」
「了解シマシタ」
「じゃあ俺帰るわ」
少々大袈裟に音を立ててクラウディが立ち上がった。
「ははは、あぁ……。なんだ、もう帰るのか?」
「まだ話できるのか」
「失礼な。今日はまだ良い方なんだろ?」
「まぁ、そうか。俺はお前と違って仕事があるからな、それに昨日お前がやったことの証拠隠滅を図らなきゃなんないから忙しいんだよ」
「へぇ、よく分からんが頑張れよ」
一応自分も立って、クラウディを玄関まで送ってやる。なぜかその後ろからムーンもついてきていた。
玄関扉を開けてやるとクラウディは薄く笑って敬礼をした。クラウディは自分を馬鹿にするとき、よくこれをやる。
「ばーか」
「わざわざ開けてやったのにその態度か? もっとお巡りさんらしくしろよ」
「そうだなぁ、可愛い新人が最近来たし良い顔しなくちゃな」
「ふん。最近危ないから気を付けるんだぞ、お巡りさん」
「お前こそ気を付けろよ、そんな目の色してると狙われやすい。嫌われ者は助けてもらえないからな」
「自分の身は自分で守るさ、出来る範囲で、な」
「そういえば最近、この国で無差別な連続殺人事件が起きてる」
「それがどうした」
「その犯人も俺達が利用している奴だ。だけど危険な奴だから、もし会ったらすぐ逃げるんだぞ。お前が死ぬとその、なんだ、困る」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時