何も分からなかった ページ15
「ワカラナイ。ワカラナイ。ワカラナイ。ワカラナイ。ワカラナイ」
少女は延々と同じ言葉を繰り返し呟いていた。
もしかして壊れてしまった? だとしたら直さなければいけない。でも自分にはそんな知識はない。でも勉強すれば修理くらいは出来るようになる。
いや待て。何故自分はこの少女を修理しようと思ったんだ?
動けばそれでいい。もう動いたから欲求は満たされて、この少女も用済みではないか。
とっとと電源を切るなり、壊すなりして家族のところに戻ればよかったのに。それなのに、どうして意味のない嘘でからかったり、修理しようなんてしてしまったんだろう。
「ワカラナイ。ワカラナイ。ワカラナイ。ワカラナイ」
「人間なら無理に理解しようとなくていいんだ。気楽にいこうぜぇ?」
「人間……」
胸の辺りがもやもやする。
「……ソレデハ、教エテクダサイ。貴方ノコトヲ」
「ん。あぁ」
分かった気がした。
この少女はこんな自分のことを知ろうとしてくれている。それは滅多にないことだったから、少し嬉しくて、それで。
だから? 嬉しかったからなんだっていうんだ。これは言い訳だ。
違う。分かってたからだ。自分の物に出来ないと。
この手で自分の物に出来ないなら、別の方法で自分の物にしようとどこかで思ったから、からかったり修理してやろうと思ったんだ。
家族にできないから、まずは友人から。
でもどうすれば仲良くなれるか分からなかったし、自覚がなかったからこうしているんだ。
でも、青い目の少女はきっと自分を嫌いになる。
でもまぁ、こういうのも面白いかもしれない。嫌われるまで遊んでやるとしよう。
「しょうがねぇな」
少女は綺麗な青い目をこちらに向けた。
「教えてやるよ」
「教エテクダサイ。理解デキナイ貴方ノコトハヨク知ッテオキタイノデ」
「俺はアシッド・レイン。お前を好奇心で動かしただけの人間だ。この赤い目が目印だ。覚えておいてくれよ」
自分の目を指差しながら言うと、少女は首をかしげた。
「赤?」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時