私の愛しい王子様 ページ14
あぁ、私の愛しい王子様。
私と共に海の底へと行きましょう。
体は要らないわ、あなたの頭だけでいい。
私が愛したその美しい顔さえ残っていればそれでいいの。
水に濡れた髪がとても素敵ね。
白く透き通った肌が好きよ。
いつか私に愛を囁いた唇や筋の通った鼻、可愛らしい耳、何もかも愛しているわ。
目は要らないわ。青い目は嫌いなの。
海の色と同じだから。
それ以外は大好きよ、愛している。
ずぅっと愛します。
永遠に終わることのない愛を捧げましょう。
いつか、遠い昔に出会った仮面の人が言っていたの、私は幸せになるべきだって。
愛した人と結ばれ、願いを叶えるべきだって。
でも、それはできなかった。
信じられる？ 私とあなたが出会わないようにしたのよ。
あなたに出会わなければ、私は生きていられる。
違う。
違う。
違う。
私が望んだのはそうじゃない。
あなたと出会わないことも、あなたの血で薬を作って海に帰るのも、想い叶わず海の泡となり消えてしまうことも全部！
これは私の物語なの。
他人が決めた結末じゃ、私の物語とは言えない。
私がどうして、どうなるか、全部私が決めるべきでしょ？
あの仮面の人のお陰で、この世界をいじくる方法を知ったの。
だから、すべては私の望み通り、思いのままに都合よくいじくっちゃった。
船の事故で王子様の体はバラバラになり、魚に食べられてしまいました。
頭は美しい人魚姫と共に海の底。
人魚姫は王子様を愛し続けます。
頭は腐ることも、朽ちることもありません。
それは、愛の力。
まことの愛が奇跡を起こしたのです。
こうして二人は誰にも邪魔されず、永遠に海の底で過ごすことができるようになりました。
今日も王子様のために人魚姫は歌います。
美しい歌声はどこまでも響き渡り、聞いたものを虜にするでしょう。
あぁ、私は今、とても幸せよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 91人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワモテ(プロフ) - この独特な世界観が好きです！ (2022年6月28日 19時) (
レス) @page4 id: d60369b53d (このIDを非表示/違反報告)
切り紙 - 衛生兵079さん» やっぱりそうでしたか！ありがとうございます！ (2022年4月12日 21時) (レス) id: 3ea5ee90fc (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 切り紙さん» 同じお店です。女性はそのお店の店長さんです。 (2022年4月12日 20時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
切り紙 - 衛生兵079さん» あ、あっ…！上手く言い表せないんですけどもう全部好きです((それで思ったんですけど、この話の女性が開いてるお店って道案内に出てきたおじさんが言っていたのと同じですかね？ (2022年4月12日 20時) (レス) @page38 id: 3ea5ee90fc (このIDを非表示/違反報告)
衛生兵079(プロフ) - 切り紙さん» リクエストありがとうございます。風、空ですね、了解しました。 (2022年4月12日 10時) (レス) id: fb9fb2071f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：衛生兵079 | 作成日時：2017年12月25日 23時
