ヒトゴロシは語る

03 ページ3

相場は分からなかったけど適当に倍の金額を出すって言ったら、ホイホイ付いてきたよ。

　そのへんの空き家に連れ込んでさ、そこで殺した。

　いや、それはしなかったよ。どんな病気持ってるか分かったもんじゃないからね。

　二階の寝室だったろう場所のベッドに先に寝転がってさ、早くぅ、なんて言って誘ってくるんだけどさ、こっちは端からそんなつもりじゃないし、正直言って気持ち悪かった。

　人選失敗したかなって、思ったけどいざ持ってきたナイフを思い切って腹に刺したら一気に変わったね。

　当然痛みで暴れて、抵抗するんだけど、薬漬けで体力がほとんどなくなってたっぽくてさ簡単に抑え込めたよ。

　そんで刺さったままだったナイフを抜いてもう一回、もっと深くに刺してさ、素手で顔面をボコボコに殴ってやった。

　……本当、最高だったよ。

　やっぱり画面越しで見るよりもずっと魅力的で、とても満たされるものだった。

　それに今までの人生で感じたことがないくらい気持ち良かった。食とか、性とか、睡眠よりもずっと。

　自分よりも弱い人間に、暴力を振るうのはこんなに良いものなんだって初めて知った。

　それでさ、拳を一発入れるごとに顔の形が変わっていくんだ。

　それが面白くって夢中になって、んで最終的にはこんなパンパンに腫れ上がっちゃってさ、元の顔を思い出せないくらいになっちゃったんだよ。

　ははは、今思い出しただけでもぞくぞくする。

　で、もう一発いこうと思ったんだけどさ、いつの間にか死んじまってたのに気がついた。

　動かないから、おかしいなと思って脈とか調べてみて、なかったから間違いなく死んでた。

　正直ガッカリしたよ、丁度気持ちが高ぶってきたところだったからさ。

　反応しないから、死体には興味がないんだよ。

　まぁ、世の中には死体に興奮する変態がいるらしいけど、俺から言わせてもらうとそいつら頭がおかしいんじゃないかな。

　だって何したって反応がないんだぞ？ そんなの人形遊びと変わらんよ。

　生肉でできた人形遊びとか、気持ち悪いと思わない？
　
　……へへへ。

　結局、ジェシカの死体はそのままにして、その日は家に帰ったよ。

　確か、まぁ、ジェシカってさっきも言ったけど薬キメて体売ってるようなやつだったからさ、いわゆる中毒者同士のイザコザ？ みたいな感じで処理されたんじゃなかったかな？

　あぁ、やっぱりそうだよね。

　そうだよ、真犯人はね、この俺。

04→←02

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す