最弱悪魔は生き残りたい2 (ページ28)

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再会 6 ページ28

「マグラは今何位だ？」

　ページをめくりながらモノクロが言う。

「えっと、今朝見たときは99位だった。けどモノクロ、それ今ここで出すのはまずいんじゃ……」

　ここは電車で、他にも人間がいるのに思いっきり何もない空間から本を出すとか明らかに人間じゃない感じのことをするのはよくないのでは？

「問題ない。この車両には人間はいない」

　本に視線を落としたままのモノクロにそう言われ、今いる車両を見渡すと今しがたまでいたはずの数人の人間は影も形もなくなっていた。

「今朝は何も食べてなかったからな」

　ポツリとモノクロが吐き出した言葉で、いなくなった人間がどうなったのかを理解する。

　それと同時に、この前自分が影に飲まれた時のことを思い出して寒気がした。

「あぁ、いた」

　嬉しそうなモノクロの声。

「ホント？」

　本を覗き込むと開かれたページに確かに見慣れた、今朝久しぶりに見たその姿があった。

　名前も間違いないし、その下には常に動き続ける住所が記されている。

「それじゃあ、終わったらすぐに……、ん？」

　モノクロが首を傾げた。

「どうしたの？」

「今こいつがいる場所は……」

　小さな声でそう言うとモノクロは再びページをめくり始め、俺達が狙うことにしていた悪魔のページを開いた。

　そしてモノクロはそのページと、姉ちゃんのページを何度か行ったり来たりしてから、楽しそうに、しかし抑えた声で笑った。

「はは、は。今日は良い日だ。喜べ」

　どういうことかまだ俺は理解できていない。

「何を？」

「お前の狙いの悪魔と、マグラは近い場所にいる」

　そう言ってモノクロは姉ちゃんと悪魔の居場所が書かれたところをよく見せてくれた。確かに国や町の名前などが同じで、何番地とかくらいしか違いはなかった。

　適当に選んだ悪魔と、会いたい人がすぐ近くにいるってすごい。

　やっぱり俺って運がいいのかも。そんな気になるのには十分だった。

「じゃあ……」

「あぁ。先に殺してもいいし、先に会いに行ってもいいな」

「なるほど。まぁ、先にどっちに会えたかで考えよう」

　先に姉ちゃんだったら一緒に悪魔を殺しに行けるし、後から姉ちゃんだったら成長した俺を見せることができる。はず。

「そうか。……次で降りるぞ」

　本を閉じ、車窓の向こうを見ながらモノクロが言う。

　電車のアナウンスが流れていて、次に降りる駅は終点の1つ前だと知らせていた。