最弱悪魔は生き残りたい2 (ページ12)

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遊戯 12 ページ12

一体あの蝶は何だったんだ？

　もしや体になにかされたのかと確認しようとしたとき気が付く。何故か俺はレフトに燃やされたはずの上着を着ている。

「あ、これ……」

　なくしたものを運んできてくれた、というのはこういうことか。

　買いに行くかどうにかしないといけないと思っていたからこれはとてもありがたい。このゲームが終わったら消えた、とかならないといいけど。

「それじゃあ、ようやく私の番ですね」

　そう言うと同時にクエスチョンはサイコロを放り投げていた。

　サイコロはくるくると転がってクエスチョンのすぐそば、座っていても見やすい位置に落ちる。

「あ！ 6です」

　6……、ということは俺と同じ場所か。

　クエスチョンは移動しようと、体勢や動きを変えながら立ち上がろうとしているが未だ出血している変な方に曲がった左足のせいでうまく立ち上がれないようだった。

「こんなことなら、母さんを連れてくるべきだった」

　何か愚痴りながらも、ゆっくりと立ち上がり始めているけど、今にも倒れそうなくらいフラフラで心配になる。

「あ、立てた！」

　なんとも嬉しそうな声でクエスチョンが言う。

　確かに立ってはいるけどやはりふらついている。

　それでもクエスチョンは一歩踏み出した、が何故なのか分からないが左足を踏み出して体重をかけたもんだから元々曲がっていた足がさらに変な方にぐにゃりと曲がってバランスを崩して転んだ。

　一瞬白い何かが足から飛び出したように見えたけど見なかったことにする。

「駄目ですね」

　クエスチョンはそう言って、転んだうつ伏せのまま無事な右足をバタバタさせた。

　こいつ馬鹿なのか？出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。

「あー、手、貸そうか？」

「いえ、結構です。歩くのは諦めます」

　クエスチョンは首を横に振って答え、それからズルズルとほふく前進のように移動し始める。

　移動した後には血の跡が続いていて、ホラー映画のワンシーンのようになってしまっている。

　この世界には驚くほど似合わない光景だ。

　そしてふと思う、悪魔なのに回復が遅くないか？

　俺だったら血が止まって傷が回復し始めているくらいには時間が経っているのに、傷が塞がるどころか血すら止まっていない。

　こいつって俺より強いんだよな？順位上だったよな？

　悪魔は心臓を破壊されない限り死なない、心臓さえ無事ならどんな怪我でも治るし、腕や足、頭が吹き飛ぼうと必ず元通りに再生する。