最弱悪魔は生き残りたい2 (ページ1)

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遊戯 1 ページ1

何回もしつこいくらいにチャイムが鳴り響く。

　ドアの向こうからは何だか嫌な気配がしていたが、開けないで放っておいたらどうなるか分からない。

「はい！今出ますから！」

　ドアを開けるとそこには見たことのない悪魔が一人、立っていた。

　奇妙な模様の入った仮面をつけていて、大きな目が一つとコウモリのような羽のついたシルクハットを被り、鳥のような杖を持ち、左足首あたりについたタグには「013」と書かれている。
　
　赤い蝶ネクタイに黄緑のシャツとズボン、紫のベストとやたら派手な格好をしたそいつは、扉を開けた俺を見て首をかしげた。

「あれぇ？知らない人です。モノクロはいないのですか？それとも私部屋を間違えてしまいました？いや、そんな訳がありません。確かにモノクロがいる感じがしますし、これは一体全体、どうしたことでしょうか？」

　そいつは大袈裟な身振り手振りと、喉が潰れたような低い声でわざとらしくそう言って、遠慮なく中に入りこちらの制止も聞かずに歩いていく。

「あ、えっと、だめだ。今、モノクロ寝てるから、誰も入れるなって……」

「そうですか！モノクロは寝ているのですね！」

　嬉しそうにそう言ってそいつは足を止めず、俺もつられて例の部屋の前まで来てしまった。

「あの、入るのは、ちょっとまずいかなって、思うんですが……」

「大丈夫ですよ。だって、モノクロですから」

　どこからその自信が沸いてくるのだろう。

「モノクロ、今かえっ……」

　そいつがドアを開けた瞬間、黒く鋭い歯を持った大きな生き物が中から飛び出し、そいつの上半身に噛みついた。

　肉が裂ける音と骨が砕ける音、それと小さく苦しそうなうめき声。

　そいつは足をばたつかせて抵抗していたがバキッという一際大きな音の後、体から力が抜けだらんと足が垂れ下がった。

　黒い生き物は獲物をくわえたまま首を左右に激しく何度か振った後ゆっくりと寝室の中に戻っていき、完全に中に入ると大きな音を立てて勢いよくドアが閉まった。

「え……？」

　もし自分がドアを開けたらああなってたの？あいつはなんだったんだ？てか今食われたけど？

　モノクロのことを知っているようだったけど……。

　短い間で色々起こりすぎて、何がなんだかよくわからない。

　とりあえず一旦落ち着こうと思い、リビングに行くと、さっき食われたはずの仮面の悪魔がソファーに寝転がってくつろいでいた。