烈火 13 ページ39
逃げたとしても相手は子供、そう遠くに行っていないはず。
それにいくら逃げるのが上手くても、悪魔のボディーガードがいようとも、あの子供はただの人間だ。今まで殺してきた人間達と何も変わらない。
でもレフトにとっては違う。捕まえて人質に出来れば、あれだけ大事そうにしていたし下手には攻撃してこないはず、かなり有利になる。
それで上手いこと隙を作って、心臓を潰せれば……、勝てる。多分勝てる。
運がいいことにレフトはこちらを見失っているようだった。
「どこへ行った!」
早速こっそりとその場を離れ少女の方を探しに行こうとしたとき、金属が擦り合う耳障りな音とともに大きな声がコンテナの通路の間に響いた。
「出て来なさい、あなたのいる場所は分かっています!」
そう言われ焦った。もうバレてしまった?
どうしよう。
しかしレフトの声と足音は今いる方とは反対側へと遠ざかっていく。しかもかなり早足で。
どうやら本当にこちらの居場所が分かっている訳ではなさそうだった。
自分を囮にして少女が逃げる時間稼ぎをしていたが、自分を追うはずの俺が見えなくなってしまったからハッタリをかまして誘い出そうとしていたんだろう。
レフトがその場にいたままだったら飛び出していってしまっていただろうけど、すぐにその場を離れていったからこれは嘘だと、向こうは俺の場所が分からないと思えた。
でも何故? 焦っているから?
そのまま遠くへ行ったようだし、落ち着いて考えよう。まだレフトは俺の居場所を特定できていないし離れて行っている。レフトが出したであろう炎の明かりが少し遠くに見える。
この隙に少女見つけ出して捕まえて、レフトを誘い出して、なんやかんやでレフトにトドメを……。
いや、なんやかんやってなんだよ。
だが肝心のそこがどうやっても思いつかない。情報が足りない。
……とりあえず少女の居場所を聞こうかな。
「モノクロ」
小さな声で呼ぶと、足元の影からモノクロがひょっこりと顔を出した。
影から頭だけが生えている、という妙な光景がそこにある。
「何だ」
「えっと……」
いや、まさかこんなふうに出てくるとは思わなかったというかこんなことができることを初めて知った。
またいつの間にか横に立っていれくれるものだろうと思っていたから、こんな、頭だけ出してくるとは思わなかった。
驚いてしまって、しばらく頭だけ出ているのをただ見ていた。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時