烈火 11 ページ37
ズボンのポケットから新しく折り畳みナイフを取り出す。
最初に持っていたものは、少女を追っている途中でいつの間にか落としてしまっていた。
刃は小さいが心臓を壊すだけなら十分なものだ。
相手も俺がすぐ近く、目の前まで来ていることはすでに分かっているはず。
「そ、そこにいるのは分かっているんだぞ!」
いつか映画で聞いたセリフを叫ぶ。
「お前はもう逃げられない、諦めてそのコンテナから出てこい!」
とりあえず出て来たらナイフを持って突撃しよう。戦略とか作戦とか難しいことはまだよく分からない。
炎くらいなら何ともないらしい今なら適当に突っ込んで行って、攻撃しつつ弱点を見つけるってことができるはず、自信はないけど。
それにモノクロと契約してからここまで恐ろしいくらいに順調に進んできた。だからいける、そんな気がしていた。
しかし、いくら待ってもレフト達は出てくる気配がない。
耳を澄ますと、先程まで聞こえなかった小さな話し声がコンテナの中から聞こえてきた。
ボソボソと声は聞こえるが、何の話をしているのかは分からない。
「おい、早く出てこい!」
もう一度叫ぶ。
やはり返事どころか何の反応もない。
「お……」
もう一度呼び掛けようとしたその時、俺の目の前、コンテナに空いた穴から漏れる明かりが強くなり、火が吹き出してきた。
みるみるうちにコンテナの一部が赤くなっていき、まるでスライムのようにドロリとした状態になって弾けたと思った次の瞬間、先程見たものよりも大きな炎の壁が迫ってきた。
当然避けられる訳もなく、簡単に炎に飲み込まれ視界が真っ赤になる。
でも熱くはないし、痛くもない。
むしろ丁度いい温度に感じるくらいだ。
すごいと思うのと同時に、モノクロのジャケットを着ていなかったら一瞬で消し炭になっていたと思うとゾッとした。
そんなことを考えていると、炎の壁の向こうに一瞬だけ影が見えた。
ずっと炎の中にいるわけにもいかないのでその影が見えた方を目指して走る。
そこに近づけば近づくほど炎は強力になり、気配も強くなっていった。
段々とその影の正体が見えてくる。間違いない、レフトだ。
向こうもこちらに気がついたようだったが、走って炎から飛び出し、レフトに向かってナイフを突き出した。
「……っ! 何故」
レフトは驚きつつも、ひらりと身を捩りナイフをかわす。
やっぱり当たらないか。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時