占いツクール
検索窓
今日:103 hit、昨日:319 hit、合計:75,486 hit

おなかすいた 6 ページ22

もしかしたら自分が食べられてしまうのかもしれない。と思ったが、見当違いだったみたいだ。

 きっと今まで消えた子は、ジャックに食べられてしまったのかもしれない。

 だとしたらいずれ私も……。

 べりべり、べりべり。

 どんどん壁紙が剥がされて、ジャックの胃袋に収まっていく。壁紙は少し飲み込みづらそうだ。

 普通ではあり得ないその異常な光景になんの疑問も抱かないのは、さっき見たアリスさんの病気が強烈すぎたせいだろうか?

 いつの間にか白く清潔そうな壁はほとんどなくなり、冷たく無機質なコンクリートが剥き出しになっていた。

 しばらくして病室から白い壁が消えて、食べる壁紙がなくなるとジャックは私の近くに戻ってきた。

 ジャックはにこにこと楽しそうに笑っている。

「おなかすいたねぇ」

「え?」

 まさかの一言。

「おなかすいた」

「あんなに、食べたのに?」

 ジャックが首をかしげる。

「あれしか食べてないよ?」

 病室の壁を覆っていた壁紙は結構な量はあっただろうが、それを全て胃に収めてもまだまだ足りないようだった。

 きっとジャックにとって、あれはほんの少し。腹を満たすほどのものではなかったのだろう。

 またジャックが食べられそうなものを探し出す。

 大きな目がこちらを向いた。

 何か言うでもなく、ジャックはただ私をじっと見ている。それはまるで品定めをしているような……。

「私を、食べる、の?」

 その一言で大きな目がさらに大きく見開かれた。

「食べない! 食べないよ!! ユカは特別だからね!」

 ジャックは大きく手と首を振り、全力で否定した。

「特別?」

「そう、特別。ボク、ユカのこと大好き!」

 そんなことを言われたのは初めてだった。

 両親にですら言ってもらえなかった言葉を、会ったばかりの人に言ってもらえるなんて……。

 相手のことはよく知らないし、相手もきっと私のことを知らない。信用していいのかもわからない。

 それでも、そう言ってもらえたことが嬉しくて……。

 頭が一杯になって。何も考えられなくなって。もうどうしようもなくなって。

 …………目の前が真っ暗になった。

 
 

 
 

患者の記録 ジャック→←おなかすいた 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (144 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
205人がお気に入り
設定キーワード:オリジナル , 奇病? , 小説 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

空百合@募集企画運営のため低浮上(プロフ) - 現在更新されているの全部読みました…!占ツクで、こんなにもキャラを読ませてくる作品は初めてです。文章の書き方も私の好きなタイプで、一気に引き込まれてしまいました。更新楽しみにしてます! (5月20日 3時) (レス) id: 3dba0349b8 (このIDを非表示/違反報告)
空百合@募集企画運営のため低浮上(プロフ) - すみません。お話自体はとても面白いと思うのですが、「あぁ、神様 2」が抜けいるということはないでしょうか?早とちりでしたらすみません。 (5月18日 2時) (レス) id: 3dba0349b8 (このIDを非表示/違反報告)
星月セイ(プロフ) - やっとみつけた!!!めっちゃさがしましたよう。頑張ってください!絵を途中で出してましたが、どうやってするんですか?よかったら教えてください! (5月7日 20時) (レス) id: 5453b9e0de (このIDを非表示/違反報告)
リンゴパイ - 文才がすごくありますね!とてもおもしろかったです!これからも頑張ってください!!! (5月7日 0時) (レス) id: 0dd0cb8ad6 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - キャラクターが可愛くて大好きです!ストーリーも好みで一瞬でお気に入り登録しました!これからも頑張ってください!! (5月5日 14時) (レス) id: 86a20be59e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひとまる☆GOGO | 作成日時:2017年10月8日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。