病気とは言わないで

入院　２ ページ2

白い廊下、充満した消毒液の臭い、その中にわずかに混じる血の臭いは気のせいだということにしておこう。

　職員の人に連れられて、私は自分の病室へと向かっていた。

　エレベーターなんてものはこの病院にはないらしく、階段を上る以外に階を移動する方法はなかった。

　職員の人が言うには、この病院は四階建てで、一階より上が病室になっていて各階ごとに二人部屋が十二部屋づつ、合計三十六部屋あるそうだ。
　
　一階には、診察室やらなんやら難しい部屋がたくさんあるらしい。たぶん、私には関係ないことだろうけど。

　私の病室は二階の２０１だと教えてくれた職員の人の顔はどこか暗かった。

「どうか、したんですか？」

　そう聞くと、軽く笑って誤魔化されてしまった。

　二階の白く長い廊下の突き当たりに私の病室はあるらしい。

　そこに近づけば近づくほど、職員の人の顔は暗く曇っていく。なにかよくないことでもあるのだろうか？

「あの……」

　すると、独り言のような小さい声で職員の人は話し始めた。

「あなたの病室……、できるだけ近づきたくないの。同じ病室の子、あなたと同じくらいの男の子なんだけどね、その子と同じ病室になった子、今までも何人かいたんだけど、全員居なくなっちゃってるの…………。たぶんその子が……、きっと、ほかの子を……」

　そこまで言うと、職員の人は黙り込んでしまった。

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