7*距離(きょり) ページ9
『おはよう』
今日もあなたの声が聞こえる。
綺麗な銀髪を揺らしながら、整った顔を満面の笑みの形にしながら。
いつしかそれが日常になりつつある。
『ねぇ、今日はお休みだしさ。どこか遊びに行かない?』
「いいわね。今日はお稽古の予定も無いし。お母様に聞いてくるね」
私たちは、いつの間にか「とても親しい友人」になっていた。
基本的に人付き合いがあまり得意ではなく、話しかけてくれる人こそいるけど友達が少なかった私にとっては、とても嬉しいことだ。
私は少し足を速めて母のもとへ急いだ。
「あらぁ?うん、あの子と遊びに行くの?いいわよ〜。でも、門限は…6時だからね」
いつもより1時間遅い門限を言い渡された。
私は嬉しくなり、いつも使わないので貯まりに貯まっているお小遣いを少し多めに持ち出す。
「危ないところにはいかないのよ〜」
「はい!行ってきます!」
普段より少しおしゃれしてあなたのところへ向かう。
スキップをしてしまいそうになるくらい、楽しみなの。
「ごめんなさい!お待たせしちゃった?」
『ううん、待つ時間も楽しみのひとつ、だからね』
見た目は私とそんなに変わらないのに、とても大人みたいなことを言う。
そして、その優しい笑顔に一瞬だけ胸が高鳴った。
「(…?この感じ…何?)」
『どうしたの?具合でも、悪い?』
私がうつむき、歩みを遅くしたことに心配したのか、Aが私の顔を覗き込んでいた。
大きく開いた眼、風に揺られ日光のおかげで光り輝いている髪の毛。
その全てが私の視界に入り、私の顔は思わず赤くなってしまう。
「なんでもない…わ」
頬の赤みはどうしようもない。
だから表情や仕草でだけでも平然を装う。
『それなら、いいのだけれど』
そして、また眩しいくらいの笑顔に戻る。
…それに釣られ、私の心臓もうるさく鳴り始める。
『じゃぁ、行こうか』
そう言って、Aはとても自然な仕草で私の手を握った。
私の手より少し大きく、少年らしいやわらかさがありながら、男の子だとわかる少し骨ばった手だった。
ひんやりと冷たく、私の火照った手をほどよく冷ましてくれる。
手を握られるのは嫌ではない。
なので、私は手を引かれるままにAについていった。
『…ごめんね?人が多いからはぐれないように、と思って』
小声で謝ってきた彼に、「大丈夫だよ」とだけ返す。
…声になっていたかはわからないけど。
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夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ?そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか?私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか? (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます!とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります! (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね!あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです! 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P(リン) | 作成日時:2013年11月2日 22時