46*劣等感(コンプレックス)(7月19日*一部修正) ページ48
「昔からよ?皆、火や水の魔法が使えて、髪の毛もそれに準じた色だったのに、私だけ金色の髪の毛なんだもの!」
眼に涙がたまり始めている。
その様子は、なんともいたたまれなかった。
「お母様やお父様は“王家の証だ”って言ってたけど、皆と違うから馬鹿にされたのよ!」
大人のようにみえる女性が、子供のように泣く姿はリリアに多大な衝撃を与えた。
なぜなら、その話は自分にも覚えがあったから。
周りの人は、黒髪、茶髪、魔法が使える人はその属性に準じた色の髪をしていた。
しかし、自分だけは真っ白。
もちろん、最初は迫害された。
でも、わかってくれる人はわかってくれた。
他の人たちは、リール王国で魔法の素質の次に重要視される学力でねじ伏せた。
諦めなければ、ちゃんとわかってくれる人はいるというのに。
「それだけの理由!?呆れて物も言えないわ。」
溜息がちに言うリリア。
しかし、ルージャはその言葉に反射的に顔をあげ、リリアに詰め寄った。
「わからないでしょうね。100年ぽっちの人間の生の中、たった15年しか生きていないあなたには。」
「永き時を生きる私たちにとって、人間なんて種族は脆弱で悲しい運命に翻弄されている種族。」
「“悪魔”は不老不死、“エルフ”は1万年以上の時を生きる。“ドワーフ”は酒を作り、飲むことができなくなるまで。“淫魔”は精力が尽きるまで。“吸血鬼”は紅い血の通う種族が滅びるまで。そして“死神”。」
「この種族はあなたたち“人間”に一番近い。だから、あなたたちが“夜の種族”や“死の種族”と呼ぶ者たちのなかで一番早く死ぬ。」
「その寿命は早くて1000年。生きる人は2000年を軽く超える。しかし有限である。」
「あなたたちにとっては、長いかもしれないけど。」
「私は今は159年生きた。その中で、100年以上からかわれ、仲間はずれにされ続けたらどんな気持ちだと思う?」
その話は、想像を遥かに超える解答だった。
リリアは何も言うことができなくなり、黙り込む。
130年も、独りぼっちでいることなんて、できやしないから。
「でもね、あの人は違ったの。」
急に声色が変わる。
リリアが顔を上げると、先ほどの鬼気迫る表情とは一転して、花がほころぶような笑みを見せているルージャがいた。
「私の、私に一番近かった、幼馴染のおはなし。」
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夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ?そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか?私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか? (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます!とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります! (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね!あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです! 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P(リン) | 作成日時:2013年11月2日 22時