42*美女(エラディ) ページ44
Aの使っている借家にて。
Aは部屋の隅で、クッションを盾がわりに抱きかかえうずくまっていた。
「なーんで信じないかなぁ?さっきから俺だって言ってんだろ?」
『いやいや、無理だから。男だった友人が今日見たら女でしたなんて誰が信じるの?そんなの、物語の中だけにしてよ。』
自らをエラディと名乗る女は、豊満な胸を押し上げるように腕を組み、気怠げに立っている。
それをAは、疑わしい目をして見つめている。
『っていうか、仮にラディだったとして、性転換なんて…』
「いやいや、できるんだなこれが。俺の種族は淫魔だぜぇ?」
にやり、と唇の一端を持ち上げる。
白い前歯と、やや鋭い犬歯が覗く。
「俺ら淫魔には、インキュバスとサキュバスがいる。一般世間だと、他の種族と同じように男女で分かれてる、なんて思われてるけどよぉ…。同じなんだ。同一人物なんだぜ。」
腕を解き、演説をするかのように部屋の中をこつこつと歩き回る。
Aはそんな彼女を目で追いながら、注意深く話を聞いていた。
「俺ら淫魔が夢を見せたり、“お薬”を作るときには、精気が必要となる。でも、俺ら淫魔にはそれを作り出すことはできない。じゃあどうしようか?」
ぴたりと動きを止める。
そしてまたにやりと笑う。
「奪うんだよ。人間の男やゴブリンの雄の精気は尽きることなく作り出される。だから俺ら淫魔はそれをもらうために、男が好むような女へと変身して、交わる。」
できればゴブリンはやなんだけどね。と苦笑いをする。
その苦笑も、すぐに先程までのにやりとした笑みに戻る。
「生活に支障がでないギリギリまで搾り取るんだよ。まあそれはいいとして、そんなわけでインキュバスが男のもとに現れることも、サキュバスが女のもとに現れることもない。いくらそれを望まれても、な。」
彼女はベッドへ座り、長い脚を組む。
そして、肉感的な唇を軽く舐める。
「安心しろよ、A。俺だって節操ないわけじゃぁないんだ。何もしないよ。」
そして、やっとAが動き出した。
その場から立ち上がり、ソファーにクッションを戻す。
『本当なんだね?』
「ああ。誓うよ。」
その後、彼女はいつもの男の姿に戻った。
女の格好の方が体が軽くていいんだけどな、でもAに嫌われるのやだし、と言いながら。
ラッキーカラー
あずきいろ
35人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ?そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか?私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか? (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます!とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります! (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね!あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです! 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:P(リン) | 作成日時:2013年11月2日 22時