29＊姉様(あねさま) ページ31
「そういえば、王子様はお姉様がいらっしゃると伺ったのですが…」
王宮の長い廊下。
ただただ歩いているがために、退屈である。
リリアは、ちょっとした質問なら戯れ程度にあしらってくれるだろうと思い、当たり障りのなさそうで、それでいて相手のことを知れそうな質問をしてみた。
「うーん。居るよ？あとさぁ、俺の名前、教えなかったっけ？」
「…いいえ、教えてもらっていませんわ。」
王子は、片手で軽く頭を掻きながら、あちゃーと苦笑いをする。
「ごめんごめん。名乗りはコミュニケーションの基本なのにね。すっかり忘れてたよ。」
皆、何故か名乗る前に俺のこと知ってるからさ、と困ったように微笑む。
その笑顔は、噂を知らないものならば、一瞬で虜になってしまいそうな笑顔だった。
「俺の名前はディアル。ディアル=リーディン。本当はもっと長い名前らしいんだけど、俺自身覚えてないし、この長さでも名乗るのに不便はないから言わないよ。適当にディアとでも呼んでよ。」
「そんな、略称など恐れ多いですわ。せめてディアル王子と呼ばせてくださいませ。」
別にいいのに、と頬を膨らませるディアル。
その仕草は、見た目相応のとても子供らしいものだった。
「あ、話ずれちゃったね。姉様(ｱﾈｻﾏ)だっけ？いるいる。今日もお部屋で“お人形遊び”してるんじゃない？」
ディアルはへらり、と微笑む。
僕よりも年上なのに子供っぽいよねー。と笑っている。
しかし、リリアはこれに対して一種の確信のようなものを得ていた。
「(やっぱり、王子は人を殺し、王女はその死体で遊ぶのかしら…？)」
思考が巡る
そのうち、歩みが遅くなり、歩幅が小さくなり…
ついには止まってしまった。
そしてそのまま考え込む。
「(やっぱり私も死んじゃうのかな。そのあと、王女にお人形にされるのかな。)」
「…い」
「(どうやって王子に気に入られればいいのかな。)」
「…ーい」
「(王子が気に入ったらしい女性とコンタクトを取れればいいのだけれど…)」
「おーい！」
急に聞こえてきた呼びかけに、はっと我に返る。
いつの間にかリリアの顔の前には、心配そうな表情のディアルの顔があった。
「どうしたの？急に立ち止まって。疲れちゃった？」
「あっ、いいえ。そんなことはありませんわ。」
「ふーん。なら、いいけど。」
そう言って、ディアルはまた歩き出した。
リリアは、少し遅れて彼についていった。
30＊女性(5月10日＊誤字修正)(ミズキ)→←28＊計画(やるべきこと)
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (
レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ？そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか？私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか？ (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます！とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります！ (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね！あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです！ 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：P(リン) | 作成日時：2013年11月2日 22時
