26*嗜虐(4月3日一部修正)(サディズム) ページ28
「この国の王家は人間ではない」
そんな噂がリール国では飛び交っている。
王子は超がつくほどの嗜虐趣味者、王女はその王子が間違って死なせてしまった死体を人形にして遊ぶ、死体加虐愛好者であると。
その王子に気に入られると言うことは、「王子の遊び道具になる」ということ。
世の女性は、普通ならば王子に見初めてもらうことを夢見るが、この国では全くの逆なのである。
*
「私は、こんな人の元に行きたくないです!」
私にはちゃんと好きな人がいるんだから!
そう叫びたいところだけど、それを言えば、また別のことで厄介になるので、喉元までで抑えておく。
生まれつきの病気持ちで、体も弱い私が標的にされることはないと思ったのに。
「お母さんも、必死に抵抗したのよ…。でも、使いの者が、もう決まったことだからって…」
お母様は悪くない。
私がわがままを言っているだけなのはわかっている。
でも、本当にあそこには行きたくないの。
「どうしてっ…どうして私なの…。私よりも綺麗で、健康的な女性ならたくさんいるというのに…!」
私は、今とても最低なことを口走ってしまった。
誰かを犠牲にすればいいだなんてことを思ってしまった。
あの王子に選ばれた人は皆同じことを思っただろうに。
「…っ」
私は、耐え切れなくなって家を飛び出した。
*
『…はぁ。』
さっきからため息ばかり漏れる。
足取りも軽くない。
きっと、今の僕は疲れきった表情をしているんだろう。
そんなことを思っていたら。
「A…っ!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
直後、真っ白な少女が僕の胸の中に飛び込んてくる。
「A…」
彼女は泣いていた。
とりあえずここにいては目立つので、少し移動することにした。
*
『…それで、どうしたの?』
人の少ない公園。
茜色に染まるベンチに、僕とリリアは並んで座っていた。
「私…王子のところへ行くことになったの…。」
それは、とても喜ばしいことではないのだろうか。
その「王子」という人物のことを知らない僕は、純粋にそう思った。
「私は、そこへは行きたくないの…っ!」
そのまま、声を押し殺してリリアはしばらく泣いていた。
僕は何もできずに、ただそばにいることしかできなかった。
しばらくして、リリアは立ち上がった。
「…ごめんなさい。急に泣いてしまって。」
そう言うと、リリアは笑顔になった。
とても、悲しそうな目をしながら。
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夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ?そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか?私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか? (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます!とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります! (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね!あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです! 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P(リン) | 作成日時:2013年11月2日 22時