18*友人(変人)2 ページ20
「って言うかさ、さっきお前に抱きついてたのって、もしかして…」
長く、黒い爪を生やした手を、片方口元に当ててにやり、と笑うエラディ。
その仕草は、艶かしい彼の視線と、整った顔立ちのせいで、どうも扇情的になっていた。
『…もしかして、何さ。』
「お前の彼女、とかぁ?」
その発言に、Aは思わず怒ればいいのか、笑えばいいのかわからなくなり、何とも微妙な表情になってしまう。
エラディは、どこか一つずらしたような発言をすることを、失念していたのだ。
『…違うよ。』
「え?じゃ、じゃあ誰々?」
『……女王様。』
「うっそ、ルージャ様!?え、マジで…?」
目を最大限に見開き、本気で驚いている様子だ。
それとは対照的に、Aは疲れたような視線でエラディを見つめていた。
「え、何で…?お前に会いに来たとか?幼馴染が帰ってきてるから?」
エラディは、ルージャとAが幼馴染であることを知っている数少ない人物の一人である。
考えうる可能性をいくつか口に出すエラディ。
しかしAは、それをしばらく聞いた後…
『…わからないよ。もしも、もしもだよ?ルージャ様が僕に会いに来たとしても、理由がわからないよ。』
「理由って…、お前、ほら…」
そのあとの言葉は続かなかった。
エラディは、口元を手で隠しているために、口パクなどは見ることができない。
しかし、彼はその手で塞がれて、消えてしまった言葉をしっかりと言っていた。
「(…ルージャ様が、お前のことを好きってことだろ…)」
*
「…じゃ、俺はそろそろお暇(イトマ)させてもらおうかねー。」
少しの沈黙のあと、エラディは急にそう切り出した。
『何だ、もう行くの?』
「ん、何?そんなに一緒にいて欲しい?」
鋭い犬歯を覗かせ、ニヤニヤと笑うエラディ。
目と口が、三日月型になっている。
これは、ふざけている証拠であった。
『言ってないし。ふざけないでよ。』
「冗談だって。本気になるなよ。俺にだってやんないといけないことくらいあるからねー。」
『じゃあなんで来たの?』
「なんでって…そりゃあ可愛い友達の顔を見に?」
キョトンと首をかしげるエラディ。
そのしぐさには、どこか女性的なあざとさがあった。
「ま、いいとして。んじゃ!またそのうち!」
急にやってきて、急に去る。
Aは、台風のようだ、と呟き、人間界へと戻った。
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夜月(プロフ) - P(リン)さん» 元影猫です。そうでしたか。殿堂入りされた今では、何とも言えませんが……………お答えありがとうございます。 (2014年8月20日 8時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - 影猫さん» 私は好評価のみ受け付けているつもりはありませんよ?そして、申し訳ありませんが私自身このサイトのシステムは理解しきっておりません。なので影猫さんの質問には答えかねます。本当に申し訳ありません。 (2014年8月18日 14時) (レス) id: e39482bc43 (このIDを非表示/違反報告)
影猫(プロフ) - 質問です。何故サクシャサマは『好評価のみ』受け付けておられるのですか?私が評価をしたときは、95名の方が評価しておられたようですが……………このサイトのシステムは、100名ではありませんでしたか? (2014年8月17日 20時) (レス) id: 4e87b81b48 (このIDを非表示/違反報告)
P(リン)(プロフ) - kum.Aliさん» 応援ありがとうございます!とても励みになります。拙い文章ですが、頑張ります! (2014年3月27日 19時) (レス) id: c342c49956 (このIDを非表示/違反報告)
kum.Ali(プロフ) - ファンタジーって素敵ですよね!あ、いきなりすみません。読んでて文章構成もストーリ性も素敵だなぁっと思ってついコメントを…。羨ましい限りです! 応援してます。これからも更新頑張って下さい^o^ (2014年3月25日 9時) (レス) id: 058c904860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P(リン) | 作成日時:2013年11月2日 22時