44 ページ44
・
先生…こと、和也と付き合って一年半。
今も私は先生の担当をしていて
公私混同な日々を乗り越えながら、和也の扱いにも慣れてきた頃。
「え！本社に異動？！」
ついに、私が異動になるらしい。
本社に異動というのは実に名誉なことだけど
これをどう担当作家に伝えるか…
怒るよね…怒るだろうな…
あぁ。気が重い。
罵られることを覚悟で彼の家へ向かい
あの…と話を切り出す。
「私、本社に異動することになりまして…」
そう言った瞬間
それまでものすごい速さでPCを叩いてた彼の指が、ピタ、と止まった。
「…ハァ？異動？」
うぅ。やっぱりすごい睨まれてるー。
「ごめんなさい…」
「本社にって…翔ちゃんいるよね？」
「いますね、櫻井部長」
櫻井さんは相変わらず出世頭で
あれからずっと昇進を続けていた。
「ふぅん…いいんじゃない？」
「…え？」
いい、の？
てっきり、ダメだって言われるかと思ったのに。
「本社に異動ってすげぇことなんでしょ？
それに選ばれたからには応えるべきでしょ。
オレはお前の仕事にとやかく言うつもりはないよ」
「…はい」
でも…私が本社勤務になると
先生の担当はできなくなることに
寂しく思ってたのは私だけだったようで
「実はね、次の担当もう決めてあんの」
「え…」
「だからお前は、思う存分本社で働きなさい」
なんでそんなにあっさりなの？
「先生は…それでいいんですか？
私が担当じゃなくなっても」
付き合ってても、そばにいたかったのは私だけだったの？
ずっとオレの担当しててってあの言葉も
嘘だった？
「言いわけないだろ…
オレだってできることならずっとお前にしててほしいよ」
「じゃあっ！」
「でもこないだ翔ちゃんがさ
次に本社に異動になるのはお前かもしれないって言ってたのよ
本社に異動ってことは、早く出世もできるって」
「…先生…」
「もうちょっと早いと思ってたけど
意外と遅かったな笑
大丈夫。お前の次の担当は男だし、オレの信頼できる人だから」
「だから、A
オレのことは気にせず本社に行っていいよ」
なんて。
いつもは意地悪しか言わないくせに
ちゃんと私のことを考えててくれたんだって分かったら
「和也…ありがとう」
「あら珍しい。今勤務中！って言わないの？笑」
「いいの。今は休憩中にする」
「ンフフ、そ？
んじゃちょっとこっち来なさいよ」
そう言った和也の腕に包まれて。
私は嬉しくて、泣いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1818人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くぅ。(プロフ) - にのゆうさん» にのゆうさん、コメントありがとうございます！おまけ、読んでくださったんですね！二宮先生は双子ちゃんの子育てにものすごい協力的です笑 そんな旦那さんほしいな〜と思いながら書きました(*^^*) (2017年3月18日 9時) (
レス) id: 6e3d2fccdd (このIDを非表示/違反報告)
にのゆう(プロフ) - おめでとう双子！二宮先生大好きです。 (2017年3月17日 23時) (レス) id: b723ba0669 (このIDを非表示/違反報告)
くぅ。(プロフ) - 愛美さん» 愛美さん、こんにちは〜(*^^*)私もこの二宮先生大好きです笑 不器用なのに嫉妬深いとことか、最高だと思ってます←笑 最後までお付き合い下さって、本当にありがとうございました！(*´ω`*) (2017年3月17日 10時) (レス) id: 6e3d2fccdd (このIDを非表示/違反報告)
くぅ。(プロフ) - ジュンさん» ジュンさん！こんにちは！(^^) 最後の最後に5人揃えられてよかったです笑 途中スランプで書けないことがあったりしたのですが、無事完結を迎えることができました！ありがとうございました(*^^*) (2017年3月17日 10時) (レス) id: 6e3d2fccdd (このIDを非表示/違反報告)
くぅ。(プロフ) - ケイトさん» ケイトさん、こんにちは！楽しんでいただけてなによりです〜(*´ω`*)また、4人のお話ができた時は、よろしくお願いします！(^^) (2017年3月17日 10時) (レス) id: 6e3d2fccdd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くぅ。
| 作成日時：2016年5月31日 16時
