そばにいて・・。ｓｈ #51 (ページ18)

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ー1年半前ー④

彼女のあとを追いかけた

(歩くの早えー)

ん？
後姿も元気がないように見えて追い越して彼女の前に立つ

『上林さん』

慌てて指で涙をはらう彼女

「Aちゃん歩くの早いんだもんやっと追いついたし」
『どうかしましたか？』
「送らせて？」
『大丈夫ですよ、ありがちうございます』
「俺が大丈夫じゃないんだよね…」
『私に構わないほうがいいですよ』
「構いたいし」
『上林さんはいつも優しくて皆さんと食事に行く時も構ってくれてるじゃないですかそれだけでもありがたいのに』
「じゃあ俺を構ってくれる？」
『わ、わかりました』

『あの……方向が違うくないですか？』
「うんわざと遠回りしてる」
『え？』
「ドライブしようかな？って思って」
『私となんかでいいんですか？』
「Aちゃんとがいいんだけど」
『ヘンな人(笑)』

そう言って笑った彼女の頭をなぜかポンポンした俺
少し照れて外を向いた彼女がめちゃくちゃ可愛いくてこの時自分の気持ちがハッキリした気がした

『上林さん』
「ん？」
『もしかして志賀島に行くんですか？』
「そう当たり!!」

潮の香りがする夜景が見える場所に車をとめた

「降りて歩く？」
『そうですねせっかくだから』
「足元気をつけてよ？」
『はい』

彼女は俺の後ろを歩く

「Aちゃん今日の事なんだけど」
『すみませんでした』
「いや、Aちゃんは前に言ったよね
“言いたいヤツには言わせてればいいんです ”ってでも今日のは暴力だよ!Aちゃんは被害者だよ訴えていいと思う名誉毀損罪で俺サポートするから」

彼女が立ち止まり両手で顔を覆い泣きだした

俺はごく自然と彼女を抱きしめてた

「全部は無理かもしれないけど吐き出して俺が聞くから」

声を出して泣くAちゃんの背中を宥めるように落ち着くまでトントンした

『きょ…わホントに悔しくて悔しくて悲しかったんです』
「うん」
『お客様を侮辱された気がして自分のことはあまり考えられませんでした』
「Aちゃん自分の事をもっと大事にしなよ」
『私はいいんですよ』
「よくない俺の彼女ってアイツに言ったから」
『え？どーして？そんな嘘、上林さんにリスクしかないじゃないですか』

彼女が笑った

俺は好きだって言ってしまいたかった

でも今は違う

。