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#12 ページ13






「ヤベーっ 見えねー」

ワイパーをいちばん速くしても あまり変わらない視界

公園の木々が見えてきたけど結構広さのある園内でこの雨だ 彼女の姿も見えない

多目的トイレ横を通った時 ひっくり返った傘が見えた

( A… )

路肩に車を止めるとそのまま走った

フェンスを飛び越え水の溜まった傘を拾う


また雷だ… 多目的トイレの軒下に丸まった彼女を見つける


「A!!」

聞こえるはずはなく

軒下にも降り込む雨は傘を捨てた彼女を濡らしていた

肩をそっと叩くと耳を塞いだまま恐る恐る俺を見上げた彼女

「立てる?」

耳を塞ぎ怯える彼女を力で抱き起こし着ているパーカーを脱いで
Aにかぶせた

「車まで行くよ」

聞こえてなくても Aを抱えて車に戻る

後部座席に座らせて少し見える頭をポンポンとした

「もう大丈夫だから ちょっと待っててよ」

置いてきた傘とマイバックを迎えにいく








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作者名:エリン | 作成日時:2020年3月30日 18時

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