やっと話せた sh #16

#13 ページ14

※ASide※



アラームの音で目が覚めた

いつもと違う感覚

(痛っ…)少し頭が痛い


飲めもしないお酒を口にした事を後悔した

あまり記憶もない

ベッドサイドの灯りをつけると

自分が紺色の服にシーツを掛けて寝ていたことがわかる


(巨くんの上着…)


『あっ』

断片的な記憶が逆再生するみたいに私を支配する


(大失態だ)

　
バスタブに熱めのお湯をため体を温める

外がだんだんと明るくなってきた

バスルームから出てテレビをつけた時だった


(うそっ…)


壁にかけてあるホームの16のユニフォームに

巨くんのサインが入っていた

そしてチケットホルダーには

私が毎日 巨くんに渡す絵葉書が

巨くんの字で埋め尽くされていた



キチンとメイクをして


大好きな服を選んで


バックに 巨くんから貰った葉書と


今日 渡す葉書を入れて部屋を出る


ホテルからバスに乗り込む選手を待った


ファンもかなりいて 近づけなかったけど

何とか巨くんに謝りたくて離れて待っていた


少しざわつき始めたバス乗り場に選手がやってきた


巨くんはチラッとファンの方を向いて会釈して

バスに乗ってしまった

その後に栗原選手が続いて乗りかけた手前で

口元が“あっ”と言うと 後退り私の方へ歩いて来た

栗「おはようございます」

『おはようございます 昨夜はありがとうございました』

栗「いえ 料理が旨くて沢山食べちゃいましたよ
あの…Aさん 今日も綺麗です」

『えっ？///ありがとう』

顔が赤くなったところ

栗原選手の後ろから声がする

巨「栗、柳田さん来たらバス出るぞ」

栗「あ、はい じゃあAさん また 生目で」

栗原選手はバスに乗った


巨「おはよう」

『おはようございます あの…沢山ご迷惑かけた様なので 謝りたくて』


巨「今日は どうしてホテルなの？」

『これから福岡に帰ります』

巨「えっ？」

巨くんは かなり驚いていた

巨「もう会えないわけじゃないよね？」

『市役所に行ってこようと思って だから今日はここで』


私は巨くんに葉書を渡した


『巨くんに背中を押してもらえた気がして･･･行ってきますね
練習頑張って！』


胸元で小さく手を振ってタクシー乗り場へ歩き出した

巨「Aちゃん！！」

振り返る前に肩に巨くんの両手が乗ると

ポンポンと肩をたたき

巨「気をつけて行っておいで」

と言ってくれた


振り返ってお辞儀をするとバスから声がした


柳田「みんなで何みよるん？？」








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