HAWKS短いお話 Ⅱ (ページ5)

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#１内川聖一と言う男② #51上林誠知ページ5

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「嘘だ、まだ近くにいるよね？踏み切りの音がするじゃん」
『駅に向かってるのは本当だもん』

「一緒に帰ろう？そっちに行くから」
『いいの？まだ明るいしファンの人も沢山いるよ？』

「Aは、俺の誰よりも大切な人だからさ」
『誠知…。早くきて』

“早くきて”の声は、たぶんきっと待ってたんだろうなと思った

球場を左手に見て踏み切りを渡ると左側の道路脇に彼女がいた

幸い電車が通るため遮断機が降り後ろは誰もいない

「そこの可愛い Aさん、デートしません？」
『！！！/////』

「A！デートしよ！早く乗って！」

赤くなって彼女が車に乗り込んできた

「照れてる、可愛いっ」
『普段言ってもらえないし/////』
「でも、いつも思ってる」

“んっ”

シートベルトをつける彼女にキスした

『/////』

外でも俺に気づいてた娘たちが悲鳴のような声をあげていた

「行くよ」

背後の踏みきりの遮断機が上がる前にその場から走り去った

『反対方向じゃない？』

大牟田方面に走りだした俺を覗き込む

「デートって言ったっしょ」
『楽しみにしてたほうがいいってことか』
「あーでも間に合わなかったらごめんだけど」

途中、有料道路に乗って着いた場所は三池港

「ギリ、セーフじゃね？」
『・・・』
「A？」

車に寄りかかり2人で並んだ

『キレイなオレンジ色だね、涙が出そう』
「Aもオレンジ色でキレイ」

自然と肩を抱くと

俺を見上げた A…

『誠知もオレンジ色だけど頑張って灼けた顔がカッコイイよ、大好き』

｢Aには敵わない｣
『敵わないって？』

｢悩んでる暇ないな｣
『いいのよ生きてるんだから、いっぱい悩んで考えたら、どんな時も一緒にいようね？』

｢うん｣

“あ、内さんせーじっす、これから遊びに行ってもいいっすか？(何でだよ)Aと一緒にですけど、(それを最初に言え)”

｢Aで許可が出た(笑)｣

『私ね来年のシーズンは内川さんの試合見に行きたいんだ～』

｢俺の試合じゃなくて？｣
『うん』

｢やっぱ誠知のほう見とけばよかったーって言わせるから｣
『うん』

幸せそうに笑う彼女を見てると
幸せな気持ちになる

｢奥さんの好きなシュークリーム買ってく？｣
『おぉいいね』
｢よし行こう｣

『ねぇちょっとギュッてしてもらえる？』
｢いいけどギュッだけでいいの？｣

答える前にギュッしてチュッもした

ーFinー

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