HAWKS短いお話 Ⅱ (ページ3)

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中秋の名月②#５１上林誠知ページ3

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もう姿が見えてもいい頃なのに来ない

俺は走った

走りながら反省した

月明かりで明るい道だが夜だ

そんな場所に大事な人を置いてきた

少し走ったとこで座り込んでいた彼女を見つけてホッとしたくせに

口は憎たらしい

「何やってんだよ！待ってても来ねーし」
『…れば』
「なに？」
『待っててとか頼んでない、帰れば？歩いて帰るから』

彼女の本心ではないことは声で分かった

「つまんない意地張らなくてもよくない？」
『わかってるよそんくらい、後に引けなくなっただけだし、ほっといて』

笑いそうになりまた機嫌を損なわれるのは嫌だから我慢した

「で？何で靴を脱いでるの？」
『砂が入ってて痛かっただけ』

「車には乗らないんだろーけど俺の背中には乗れる？」
『えっ？』

Aはコクリと頷いた

(かわいい)

彼女の腕を掴んで起こすと

月明かりの下 Aをおぶって歩く

やっといつもの彼女だ

俺の首が絞まりそうなほど腕を絡めて首筋に頬をくっつけてきた彼女

『誠知の匂いがする…ほっとする』

それを聞いて俺はAとの時間が足りてないことを自覚した

しかも少し痩せてる

「A、、ごめん」
『苦しかった？重い？』
「ちげーし苦しくなんか全然ないし、むしろ軽い」
『じゃあこのままでいい？』
「もちろん」
『こんなとこだから誰の目も気にしないでいられるね』

ギュッと俺を抱く腕にAも俺が足りないのがわかって

「俺に話したい事いっぱいあるんじゃない？」

『あれ話そう、これもって思ってても誠知の顔みたらそれだけで嬉しくて忘れちゃうの、今朝ね生理になっちゃって少し体がキツクて甘えることもできないなって思ったら八つ当たりしてて自分が惨めになってきちゃって…ごめんなさい』

素直に話す彼女が愛しい

「A ちょっとおりて？」
『嫌だっ…』
「ちょっとの間だけだよ」

『えっ』

すぐに抱きしめられた彼女はビックリしていた

『く、苦しい…』
「ガマンしてよ」
『うん、、する』

(うん、するだって可愛すぎでしょ)

腕の中から俺を見上げたA

「今日の月Aの顔が見えていいもんだね」

『んっ』

めっぱいの気持ちを込めてキスした

それに応えるように舌が絡み合う

「ヤバイね」
『うん、ヤバイね』
「今日、泊まるでしょ？てか俺と暮らそ？」
『いいの？』
「毎日会いたいじゃん」

中秋の月下 Aと繋いだ手をぶらぶらさせながら歩く

Fin

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