Dear my teacher【 sh × kt 】 (ページ5)

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「で、なに？」
「お前さ、頭良いのになんでそんなやる気ないわけ？」
「……お説教？」
「将来のこと考えてんの？受験生だよ」
「んー、紫耀くんと結婚する」
「真面目に」

少しくらい乗ってくれてもいいのに。冗談だけど冗談じゃない私の本気が伝わらないようで、今日も適当に流された。私、ほんとに好きなのに。

「話ってそれだけ？」
「あ？」
「担任でもないのにわざわざご心配ありがとうございました」
「おい、葉山」
「じゃあね、先生」

吐き捨てるように教室から飛び出した。もうやめる。そうだ、受験生だよ、私。勉強なんか好きじゃないけど、何故かテストの点はクラストップ３に入るし担任には何も言われてない。このまま、受験に集中すれば忘れられるかな。

夕陽が照りつける教室の前を通れば見慣れた背中が見えて声を掛ける。

「あれ海人まだいたの？」
「わ、Aじゃん。そっちこそ帰ったんじゃないの？」
「ちょっとね、」
「平野？」
「……うん」
「そんな顔されても困るんだけど」
「私もうやめた」
「何を？」
「好きでいるの、やめた」
「ヘえ」

何も言わないで。そのまま飲み込んで。自分の気持ちに整理をつけるから。海人はサッとカバンを持って「帰ろ」と言った。

２人で歩く校庭。

上から見下ろす紫耀くんに気付くはずもなく、ただ前を向いて歩いた。

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